So-net無料ブログ作成
検索選択
2017年04月| 2017年05月 |- ブログトップ

ターシャ・テューダー 静かな水の物語 [日本&アジア映画]

 ずいぶん前になりますが、友達がターシャ・テューダーのクリスマスカードをくれたので、彼女がコーギー犬が大好きな絵本作家で、アメリカのバーモント州でスローライフを実践している人だということを知りました。その後、NHKのドキュメンタリー番組でターシャ・テューダーの生活を取りあげたものが何度か放映され、とても興味深いと思いました。私はボランティアで子供図書室活動をしていて、ターシャの絵本を子供たちに読んだりすることもあります。
 今回の映画はそのNHKのドキュメンタリーシリーズを手がけた松谷満江監督が、新たにターシャの生活に密着して追加撮影した映像を、元のものに加えて完成した映画です。


TT1.jpg

 
 ターシャ・テューダーは1915年ボストンの名家に生まれた。父は飛行機、ヨット、帆船などの設計技師、母は肖像画家だった。9歳の時両親が離婚し、コネチカット州の両親の親友の家に預けられその家の型破りな気風に影響を受けた。 


TT3.jpg


 19世紀の農村の暮らしにあこがれていたターシャを、母は名家の娘として社交界にデビューさせようとしていた。けれども娘は母親の想いを振り切って、22歳の時、農業をすることに同じ思いを持っていたトマス・L・マクリーディと結婚。数年後二人はニューハンプシャー州に広大な農場を購入した。そして農業を中心として、花壇を作ったり、年中行事を大事にすることなどを通して4人の子供を育てあげた。


TT5.jpg


 結婚した後、夫の姪を主人公にした手作り絵本が出版社に受け入れられ、絵本作家としてデビューする。子供や身の回りの動物たちを題材にした、リアルで優しい筆致の絵が一般に好まれ、ターシャの絵本はアメリカの絵本界の最高の賞(コールデコット賞)を受けるまでになる。
 けれども、夫は次第に農業に興味を失い二人は離婚。ターシャは絵本、挿絵、グリーティングカードなどの作成により、収入を得子供たち4人を育てたのだった。


TT4.jpgTT7.jpg
 ターシャが仕事(絵を描く作業)をしているところ/ターシャと最後に飼ったコーギー犬メギー

 56歳のとき、バーモント州の山の中に森に囲まれた荒れ地を購入し、長男で家具職人のセスに家を建ててもらう。それを「コーギーコテージ」と名付け、荒れ地を何年もかけて自らの手で花でいっぱいの美しいガーデンに創りあげる。そしてスローライフを実践していくのだった。


TT2.jpgTT9.jpg
 ターシャとその家族

 いくら家族がよく訪問し、コーギー犬のメギーや他の動物がいて、没頭できる仕事があるとはいえ、山の中の一軒家で暮らすというのは、本当に精神的に強くなければできないことだろう。

 ターシャは色々な言葉を残している。
 「一生は短いんですもの、やりたくないことに時間を費やすなんてもったいないわ」

 「人生はたくさんの小さい選択の積み重ね。誰に会って誰に合わないか、それは大事なこと」

 「心は1人ひとり違います。その意味では、人はいつも”ひとり”なのよ」

 「近道を探そうとしないこと。価値ある良いことはみんな、時間も手間もかかるものです」
  などなど。

 農業で鍛えた丈夫な体と精神をもって、ひたすら自分の人生を創りあげてきた偉大な人だと思います。2008年に天国に召されましたが、思い残すことのない人生だったことでしょう。少しでも近づくことができたらと思いました。では最後に「ターシャの庭」をお楽しみくださいませ。

TT10.jpgTT11.jpgTT12.jpgTT13.jpgTT14.jpgTT15.jpg


監督:松谷光絵 出演:ターシャ・テューダー、 その家族と友人たちと動物たち




喜びの泉ターシャ・テューダーと言葉の花束

喜びの泉ターシャ・テューダーと言葉の花束

  • 作者: ターシャ テューダー
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日: 1999/11/17
  • メディア: 単行本





ターシャテューダー クリスマスのまえのばん

ターシャテューダー クリスマスのまえのばん

  • 作者: クレメント・クラーク ムア
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2000/11/27
  • メディア: 単行本



nice!(14)  コメント(18)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

メットガラ ドレスをまとった美術館 [外国映画]

 あの「プラダを着た悪魔」のモデルとなったVOGUE編集長アナ・ウィンターが、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開いたファッションイベント”メットガラ”の舞台裏を描いたドキュメンタリーです。
 アナ・ウィンターはメトロポリタンの理事も務めているそうです。そしてメットの服飾部門の資金集めに始めたのがメットガラと呼ばれるレセプションであり壮大なパーティーです。毎年5月の第1月曜日に開かれます。


メット7.jpgメット8.jpg
 メトロポリタン美術館とアナ・ウィンター(いつもスタバのコーヒーを飲んでます。)
 
 2015年5月2日、NYメトロポリタン美術館(MET)。伝説のファッション・イベント“メットガラ”が華やかに幕を開けた。2015年のテーマは「China: Through the Looking Glass」(鏡の中の中国)。中国の服飾や陶器だけでなく、欧米のそうそうたるデザイナーが中国のアートに刺激を受けてデザインしたドレスも展示される。フランスの一流メゾンの鮮やかなオートクチュールの数々、豪華セレブリティがレッドカーペットを彩るガラパーティー……。企画展示を担当した革新的キュレーターのアンドリュー・ボルトンと、主催者である“プラダを着た悪魔”ことVOGUE編集長アナ・ウィンターにカメラが密着。ゴージャスな一夜を生み出すまでの8か月を追う。


メット6.jpgメット12.jpg
 メットの大階段と カップルで登場のジョージクルーニー


 いやはや、こんなにゴージャスなパーティーは観たことがない。セレブたちのドレスは全てオートクチュールがお金をだしている。しかもこのパーティーの席料は1人当たり25000ドル(約285万円)で600席が瞬時に満席になるのだそうだ。この収益金は、メットの服飾部門の1年間の活動資金に充てられるとのこと。
 
 たくさんのスターやセレブやオートクチュールデザイナーが次々登場する中、最も目を引いたのは若きポップスター、リアーナだった。彼女のドレスは中国人デザイナーのグオ・ペイが担当したものだ。

メット13.jpgメット1.jpg


 日本のCMで有名なジャスティン・ビーバーも参加していたが、終始テンションが高く同行の友人とふざけていた。

メット11.jpg


 この壮大な展覧会の準備に奔走するのは、メット服飾部門の革新的キュレーター、アンドリュー・ボルトンである。とても感じのいい人だった。

メット2.jpg
 ドレスの展示に余念がないアンドリュー・ボルトン 


 そして服飾部門の裏方の人達は、有名やブランドデザイナーから借りた服を慎重に扱い、それらのほころびを修復し、シワをのばしていた。非常に念の入った神経を使う作業だろう。

メット5.jpg


 アナ・ウィンターが、ギャラのための、パーティーの席順を決めるのに苦慮しているところと、彼女の私宅での様子。やはりどこにいても忙しさに変わりはないようだ。アナいわく、こういう企画を成功させるには「アートと商業的な才能がどちらも必要」とのこと。

メット10.jpgメット9.jpg

 
 その他、ウォン・カーウァイを芸術監督に迎え、デザイナーたちに影響を与えた映画を会場で上映した。キュレーターのボルトンいわく、ウォンは他の人とは思考のプロセスが全く違う、詩人のような人物で、準備中は彼の詩のような言葉を理解する喜びを味わったとのことだった。

メット4.jpg
 展示の一部。このほか、陶器でできたドレスなど面白いものがたくさんあった。

 この映画の中で議論されていたのは、「ファッション」はアートなのかどうかということ。そして美術館に飾られるべきなのかというのが最大の論点だった。
 シャネルのカール・ラガーフェルドは、ファッションはあくまでも顧客のもので、自分たちは服を作る職人に過ぎないとのこと。ディオールのジョン・ガリアーノにしても、ジャン・ポール・ゴルチエにしても、服は美しいものではあるがアートがどうかはわからないと言っていた。
 しかし、アンドリュー・ボルトンはファッションはアートの一つと信じていると断言していた。ファッションは私たちの価値観、先入観、限界に挑戦してくれるものだと。

 まぁそういう難しい議論はさておき、映画としては日常を離れた世界をたっぷり楽しめる映像が満載だ。ただストーリー的には、登場人物の仕事の大変さと神経の使い様はわかるが、人間的な内面には迫ってはいなかった。だから心に響くものがあるわけではない。そのことを承知で、非日常的な世界の舞台裏を見たい人や、ファッションというものに、興味のある人は楽しめる作品だと思う。
 
 この映画を観ていて、なんで中国なんだろう!と思っていたところ、2017年5月にはメットでコム・デ・ギャルソン展が催されたようです。すごいですね、川久保玲さん。
 
https://www.vogue.co.jp/lifestyle/culture/2017-05-03-cdg/related/2
 コム・デ・ギャルソン展

原題:THE FIRST MONDAY IN MAY  監督:アンドリュー・リコッシ
2016年 アメリカ


 

nice!(19)  コメント(25)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

2017年04月|2017年05月 |- ブログトップ