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メッセージ [外国映画]

 SF映画なのだが、とても印象的な作品で、観終わった後心に残る映画だと思う。エイミー・アダムスがルイーズという言語学者として宇宙人とのやりとりに奔走する。


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 言語学者のルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)は湖畔の家に独りで住み、今はいない娘ハンナとの何気ない日常を時おり思い出す。ある日、地球各地に大きな宇宙船のような物体が出現する。


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 ルイーズは、宇宙船から発せられる音や波動から彼らの言語を解明し、何らかの手段でこちらのメッセージを彼らに伝えるよう、国家から協力を要請される。スタッフのなかには、物理学の見地から取り組むよう招集されたイアン(ジェレミー・レナー)もいた。ウェバー大佐(フォレスト・ウィテカー)に急かされながら、スタッフは少しずつ相手との距離を縮めていく。ルイーズは忙しくなるほど、ハンナの思い出が色濃く蘇る。


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 しびれを切らした中国は核攻撃をしようとしていた。ルイーズは自分を指して「人類」というところからコミュニケートの端緒を掴む。彼らにはタコの足に似たものがあったため、彼らをヘプタポッドと呼ぶようにした。彼らはその先端から図形を吐き出す。刻々と変化する図形の規則性を見出すと、それらをコンピュータに打ち込んで会話ができるようになる。ルイーズとイアンはそれらの2体の宇宙人を、アボットとコステロと名付ける。


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 政府や軍はヘプタポッドが地球を攻めようとしているのではと相変わらず疑っていたが、そんなとき、ヘプタポッドの時間の概念は自分たちと大きく違っていることに気付く。彼らはアインシュタインの相対性理論の進化形の如く、驚くべき真実をルイーズたちに伝える。それは、3000年後の地球も現在と同じ座標軸にあるというものだった。


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 ルイーズは彼らの言語を研究し理解するにつれ、自分の人生における経年も今までの時間軸の概念を超越したものになることを知る。ルイーズは彼らからの影響に混乱するが、過去が未来にやってくることが分かっても、愛することをやめないと確信する。ついに最終決断を下した中国の行動を止めるため、ルイーズはイアンを使って思い切った賭けに出る。彼女の行動は、地球を、そして彼女自身を救うことができるのか?

 ストーリーがわかっても、理解できないところが多いと思うが、これは他生物への愛、親子の愛、そして夫婦の愛の物語である。前半はエイリアンが何者かわからないので、観客も不安感に包まれる。そして軍隊の出動の中、緊急事態の慌ただしく少し怖い感じが迫ってくる。しかし後半はアッという展開になり、面白い場面が次々に表れ感動に包まれる。異色のSFだが、とても質のいい作品だと思った。

原題:ARRIVAL  監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ  出演:エイミー・アダムス、
ジェレミー・レナー、 フォレスト・ウィテカー、 、マイケル・スタールバーグ
2016年 アメリカ

メットガラ ドレスをまとった美術館 [外国映画]

 あの「プラダを着た悪魔」のモデルとなったVOGUE編集長アナ・ウィンターが、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開いたファッションイベント”メットガラ”の舞台裏を描いたドキュメンタリーです。
 アナ・ウィンターはメトロポリタンの理事も務めているそうです。そしてメットの服飾部門の資金集めに始めたのがメットガラと呼ばれるレセプションであり壮大なパーティーです。毎年5月の第1月曜日に開かれます。


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 メトロポリタン美術館とアナ・ウィンター(いつもスタバのコーヒーを飲んでます。)
 
 2015年5月2日、NYメトロポリタン美術館(MET)。伝説のファッション・イベント“メットガラ”が華やかに幕を開けた。2015年のテーマは「China: Through the Looking Glass」(鏡の中の中国)。中国の服飾や陶器だけでなく、欧米のそうそうたるデザイナーが中国のアートに刺激を受けてデザインしたドレスも展示される。フランスの一流メゾンの鮮やかなオートクチュールの数々、豪華セレブリティがレッドカーペットを彩るガラパーティー……。企画展示を担当した革新的キュレーターのアンドリュー・ボルトンと、主催者である“プラダを着た悪魔”ことVOGUE編集長アナ・ウィンターにカメラが密着。ゴージャスな一夜を生み出すまでの8か月を追う。


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 メットの大階段と カップルで登場のジョージクルーニー


 いやはや、こんなにゴージャスなパーティーは観たことがない。セレブたちのドレスは全てオートクチュールがお金をだしている。しかもこのパーティーの席料は1人当たり25000ドル(約285万円)で600席が瞬時に満席になるのだそうだ。この収益金は、メットの服飾部門の1年間の活動資金に充てられるとのこと。
 
 たくさんのスターやセレブやオートクチュールデザイナーが次々登場する中、最も目を引いたのは若きポップスター、リアーナだった。彼女のドレスは中国人デザイナーのグオ・ペイが担当したものだ。

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 日本のCMで有名なジャスティン・ビーバーも参加していたが、終始テンションが高く同行の友人とふざけていた。

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 この壮大な展覧会の準備に奔走するのは、メット服飾部門の革新的キュレーター、アンドリュー・ボルトンである。とても感じのいい人だった。

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 ドレスの展示に余念がないアンドリュー・ボルトン 


 そして服飾部門の裏方の人達は、有名やブランドデザイナーから借りた服を慎重に扱い、それらのほころびを修復し、シワをのばしていた。非常に念の入った神経を使う作業だろう。

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 アナ・ウィンターが、ギャラのための、パーティーの席順を決めるのに苦慮しているところと、彼女の私宅での様子。やはりどこにいても忙しさに変わりはないようだ。アナいわく、こういう企画を成功させるには「アートと商業的な才能がどちらも必要」とのこと。

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 その他、ウォン・カーウァイを芸術監督に迎え、デザイナーたちに影響を与えた映画を会場で上映した。キュレーターのボルトンいわく、ウォンは他の人とは思考のプロセスが全く違う、詩人のような人物で、準備中は彼の詩のような言葉を理解する喜びを味わったとのことだった。

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 展示の一部。このほか、陶器でできたドレスなど面白いものがたくさんあった。

 この映画の中で議論されていたのは、「ファッション」はアートなのかどうかということ。そして美術館に飾られるべきなのかというのが最大の論点だった。
 シャネルのカール・ラガーフェルドは、ファッションはあくまでも顧客のもので、自分たちは服を作る職人に過ぎないとのこと。ディオールのジョン・ガリアーノにしても、ジャン・ポール・ゴルチエにしても、服は美しいものではあるがアートがどうかはわからないと言っていた。
 しかし、アンドリュー・ボルトンはファッションはアートの一つと信じていると断言していた。ファッションは私たちの価値観、先入観、限界に挑戦してくれるものだと。

 まぁそういう難しい議論はさておき、映画としては日常を離れた世界をたっぷり楽しめる映像が満載だ。ただストーリー的には、登場人物の仕事の大変さと神経の使い様はわかるが、人間的な内面には迫ってはいなかった。だから心に響くものがあるわけではない。そのことを承知で、非日常的な世界の舞台裏を見たい人や、ファッションというものに、興味のある人は楽しめる作品だと思う。
 
 この映画を観ていて、なんで中国なんだろう!と思っていたところ、2017年5月にはメットでコム・デ・ギャルソン展が催されたようです。すごいですね、川久保玲さん。
 
https://www.vogue.co.jp/lifestyle/culture/2017-05-03-cdg/related/2
 コム・デ・ギャルソン展

原題:THE FIRST MONDAY IN MAY  監督:アンドリュー・リコッシ
2016年 アメリカ


 

ジャッキー/ファーストレディー最後の使命 [外国映画]

 1963年のあの伝説的な事件を、ジャクリーン・ケネディ元大統領夫人に焦点を当てて描いた作品です。何度となく繰り返され放映されたケネディ大統領暗殺のフィルム。そして犯人オズワルト逮捕後も、その当人が連行される途中に射殺されてしまったという、謎が謎を呼ぶ事件でした。真相は今もって藪の中です。

 その劇的な事件のヒロインであるジャクリーン・ケネディ元大統領夫人をナタリー・ポートマンが演じています。彼女の一人芝居という感じの作品で、演技が秀逸でした。
 ジャクリーン・ケネディは24歳でJ.F.ケネディと結婚し、31歳で夫と共にホワイトハウスに入り、34歳で未亡人となったのだそうです。その起伏の多い人生のなかでも、最も緊張感のある4日間を描いています。


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 ジャッキーの愛称で親しまれていたジャクリーン・ケネディ(ナタリー・ポートマン)は、夫ジョン・F・ケネディ大統領のテキサス州遊説に同行。1963 年 11 月 22 日、ダラスでのパレード中、隣りに座っていた夫が狙撃され、帰らぬ人となってしまう。


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 目の前で最愛の人を亡くした彼女には悲しむ間もなく、葬儀の準備、代わりに大統領となる副大統領の就任式への立ち会い、ホワイトハウスからの立ち退きなど、やらなければならないことが山のようにあった。この就任式で、ジャッキーは血だらけの服を着ているのだが、これは彼女の心を象徴的に表したもので、実際にこんなむごいことが行われたとは思えない。


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 さらに、事態を理解できない幼い子供たちにどう接したらいいか悩み、犯人に怒り、様々な感情が入り乱れるジャクリーン。とりわけ、事件直後から夫J.Fケネディーが過去の人として扱われることに憤り、夫が築いたものを単なる過去にはさせまいと決意する。そしてみんなが危険だからと止めるのも聞かず、子供たちの姿を民衆にみせ、自分は国葬の葬列に加わり教会まで棺とともに歩いていくと決心するのだった。


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 これほど毅然として誇り高い女性がいただろうか。普通の人なら気絶してもおかしくないような事態に、夫ジョン・F・ケネディを守るため最後まで戦ったのが、ジャクリーンだったのだと理解できた。それを巧みに表現したナタリー・ポートマンが本当にすばらしかったと思う。


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 ジャクリーンはのちに海運王オナシスと再婚するものの、オナシス亡き後は出版社に入社し、編集者として働きました。そして1994年に享年64歳で死去。”永遠の炎”が灯されたケネディのお墓の隣に埋葬されたのだそうです。映画になるほど数奇な運命を精一杯生きた女性だったのだなと感動しました。

 そして、ナタリー・ポートマンがとてもすばらしい女優さんに成長したのを目の当たりにして、嬉しく思いました。今後も大いに活躍してくれることが想像に難くないです。

原題:JACKIE 監督:パブロ・ラライン 制作:ダーレン・アロノフスキー 
出演:ナタリー・ポートマン、 ピーター・サースガード、 ビリー・クラダップ、 
ジョン・ハートetc.
2016年 アメリカ/チリ/フランス




モン・ロワ(MON ROI) 愛を巡るそれぞれの理由 [外国映画]

 ヴァンサン・カッセルが好きなので、観に行きました。彼はアメリカ的なハンサムとは違う、フランス的な男前だと思います。ヴァンサンの役は、魅力的だけれど破天荒なレストランの経営者。そして主役の女弁護士トニーは、この作品の監督でもあるエマニュエル・ベルコ。二人の激しい恋の始まりと結婚、そして別れを描いた大人の恋愛映画です。


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 物語の冒頭は、スキー事故で大怪我をしたトニー(エマニュエル・ベルコ)がリハビリセンターでリハビリに励んでいるシーンから始まる。彼女は10年間一緒に暮らしたジョルジオ(ヴァンサン・カッセル)との波乱に満ちた関係を振り返っていく。


 トニーは学生のとき憧れだったレストランの経営者ジョルジオとパリで再開し、きっかけをつかみ彼の気持ちを自分に向けることに成功する。ジョルジオからのアプローチも反応が早く、二人はたちまち激しい恋に陥っていく。


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 ジョルジオに案内されたクラブでトニーは、若く美しい女アニエス(クリステル・サン・ルイ・
オーギュスタン)から「私の彼を奪った」などと言われるが、「僕の子供を産んでほしい」というジョルジオの言葉に愛を感じて結婚する。


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 しかし結婚後、当のアニエスはトニーの妊娠を知って、自殺未遂を引き起こす。ジョルジオは彼女が精神不安定なため見捨てることはできないという。「彼女は妹のようなものだ」と彼は言うが、トニーの心は穏やかではなかった。そしてついにジョルジオとトニーは可愛い男の子を授かる。


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 しかし、赤ちゃんの名前を付けるとき、ジョルジオはアニエスに名付け親になってもらう。


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 トニーとジョルジオとアニエス

 子どもができてからも、ジョルジオがクスリを使っていたことがわかったり、新たな浮気の現場をトニーが見つけてしまったり……。その他色々なゴタゴタがあり、トニーは心底疲れて少しおかしくなってしまう。弟のソラル(ルイ・ガレル)が心配して、トニーにジョルジオと別れるように忠告する。ジョルジオはクスリを止めてセラピーに通い、まともになることを誓うがときすでに遅しで、トニーは自分の仕事である弁護士業で新しい大きな仕事を手にし、離婚に踏み切るのだった。

 こうしてトニーはこの不幸な結婚から立ち直るが、子供はジョルジオに引き取られ、二人は子供の成長の経緯を見守る役所の職員との話し合いの場で再会する。トニーがあれほど心配したのに子供は問題なく順調に育っていた。ジョルジオも今までの感じとは違って、まともな雰囲気の男性になっていた。セラピーが成功したのだろうか。だがジョルジオは会ってもトニーと目を合わそうともせず、挨拶もそこそこにその場を去るのだった。

 どんなに深く愛し合っていても、愛というものが終わったら、男女はこんなにも他人になるのだなということを、最後に見せつけられた感じがした。結局トニーとジョルジオはお互いを理解できなかったのか。恋愛というもののはかなさを表現した場面だった。それにしても、悲しい終わり方だなと思った。こんな容赦のない描き方ではなく、もう少し温かみのあるエンディングが、私は好きだ。

原題:MON ROI/ MY KING  監督:エマニュエル・ベルコ  出演:エマニュエル・ベルコ、
ヴァンサン・カッセル、 ルイ・ガレル、 イジルド・ル・ベスコ、 
クリステル・サン・ルイ・オーギュスタン
2015年 フランス




ラ・ラ・ランド [外国映画]

 とてもきれいな映画でした。お洒落でストーリーは恋愛の王道といった感じのミュージカルです。これを演技に定評のあるエマ・ストーンとライアン・ゴズリングが演じています。二人とも歌って踊れるという所が新発見でした。しかも演技の部分は二人の演技力がいきてました。なかなか面白い映画でもう一度見てもいいなと思いました。


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アメリカ・ロサンゼルス。女優を目指すミア(エマ・ストーン)は映画スタジオのカフェで働きながらオーディションを受け続けているが、落ちてばかりだった。ある日、ふと立ち寄った場末のバーで、ピアノを弾いているセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と出会う。彼の夢は、自分の店を持って思う存分本格的なジャズを演奏することだった。恋に落ち、互いに応援しあう二人だったが……。


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↑の写真は冒頭のハイウェイでのダンスシーン。すごくエネルギッシュですばらしかった。色々なダンサーがいて、しかもダンスが揃っていて寸分の狂いもないって感じだった。どれほど練習したんだろう。


 エマとライアンが二人で踊るシーン。演技派の二人がダンスも上手いなんて素敵だ。新しい一面をのぞかせてくれたと思う。


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 二人は急速に仲良くなり、生活を共にする。ミアはそれでもオーディションを落ちてばかりで、だんだん自信を失っていく。それにひきかえセバスチャンは、将来自分の店を持ちたいという夢を実現するため、あるバンドに所属しツアーにでかける。そのバンドが売れたので、ツアーに行きっぱなし状態になり、エマはフラストレーションが溜まり二人は大喧嘩する。このシーンは、二人が初めは仲良くしているのに、だんだんと本音が出てきて喧嘩になる。ここではエマとライアンの演技力が十分に発揮されておもしろいシーンになったと思う。

 作品内で演奏されるジャズもとてもよかったと思う。そしてセバスチャンが参加するバンドのリーダー、キースをジョン・レジェンドが演じている。彼はR&Bの第一人者だが、バンドの演奏する音楽がすごくキレがよくて最高だった!

 最後は少しビターテイストで、哀愁のある終わり方だが、お互い愛しあえてよかったという二人の表情が、物語をいいものにしていた。

 エマ・ストーンは大好きな女優さんで、今回もとてもよかった。ライアン・ゴズリングは今までミニシアター系のあまり目立たたない作品に多く出ていたと記憶しているが、今回の役はなかなか魅力的だった。これからもこの二人の活躍を祈っている。


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原題:LA LA LAND  監督:ディミアン・チャゼル  出演:エマ・ストーン、
ライアン・ゴズリング、 ジョン・レジェンド、 ローズマリー・デウィットetc.
2016年 アメリカ



スノーデン [外国映画]

 スノーデンの名前が今けっこうニュースでも話題になってますよね。トランプ大統領がロシアのプーチンさんにスノーデンをアメリカに引き渡せと言っているとか、怖いですね~!


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 この有名な事件をオリバー・ストーン監督が映画化、ジョセフ・ゴードン=レヴィットが主演を務めた。NSA(米国国家安全保障局)の職員、エドワード・スノーデンは、アメリカを愛する平凡な若者だったが、仕事をしていく上で、色々な秘密がわかり危機感を募らせたあげく、世界最強の情報機関に反旗を翻す決意を固めていく。


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 香港の高級ホテル、ドキュメンタリー作家のローラ・ポイトラス、ガーディアン紙の記者グレン・グリーンウォルドのいる一室に、一人の青年がやってくる。彼の名はエドワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。アメリカ国家安全保障局(NSA)職員であるスノーデンは、ホテルに集まった面々に機密資料を提供し、アメリカ政府が秘密裏に構築した国際的な監視プログラムの存在を告発した。国を愛するごく平凡な若者だった彼は、CIAやNSAで勤務するうちに、その恐るべき実態に直面。テロリスト、民間企業、さらには個人までも対象にアメリカ国内のみならず全世界のメールや携帯電話での通話を監視する体制に危機感を募らせ、キャリアも幸せな生活も捨ててまでリークを決意する。


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 ジョセフ・ゴードン=レヴィット&リンゼイ・ミルズ

 とにかく怖い映画だと思った。自分の生活が誰かに監視されていると思うと、精神的に参ってしまいそうだ。果たしてスノーデンの告発したことは本当なのだろうか。映画を観る限りでは、スノーデンの立場から色々なことを言っているので、スノーデンが正しいように思える。


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 けれどもTV番組で専門家が言っていたのだが、テロリスト側が傍受対策を強化して、通信の暗号化など、アナログな方法で連絡しあうようになったので、テロリストの動きが捉えにくくなった一面もあるとか。真実はわかりませんが。


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 ストーリーはサスペンスフルで、恋人シェイリーン・ウッドリー(リンゼイ・ミルズ)との人間関係がかなり細やかに描かれるのが良かったと思う。そしてジョセフ・ゴードン=レヴィットが、最後のほうに登場する本物のスノーデンと感じがすごく似ているのが驚きだった。というのか、ジョセフの創り方が上手かったんでしょう。もともと彼は好きな俳優なのだが、いい主演作を得たと思う。これからさらに魅力的な俳優に飛躍して行ってほしいものだ。面白い映画なので、お勧めです。


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 本物のスノーデン氏です。似てるでしょう?

原題:SNOWDEN 監督:オリヴァー・ストーン 出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、
シェイリーン・ウッドリー、 メリッサ・レオ、 トム・ウイルキンソン、 ニコラス・ケイジ
2016年 アメリカ 



インフェルノ [外国映画]

 「ハドソン川の奇跡」のトム・ハンクスを観ていいなと思って、この映画も観てみました。これは
出だしからミステリー仕立てで面白かったです。


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 トム・ハンクス&フェリシティ・ジョーンズ

 宗教象徴学者ロバート・ラングドン(トム・ハンクス)はフィレンツエの病院で目覚める。けれども記憶が鮮明でなく、なぜ自分がここにいるのかもよくわからないほどだ。彼の担当医は女医のシエナ(フェリシティ・ジョーンズ)で、治療してもらっている最中に病室を謎の女に襲われ、シエナの助けを得て、からくも脱走するのだった。
 この最初の展開から、ラングドン教授の脳内が画面に出てきて、悪夢だの自分が狙撃される記憶だのの映像が入り混じって、観客も謎をかかえたまま映像に巻き込まれていくのだ。かなり面白い展開だった。


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 ダンテのインフェルノ


 追手からのがれてシエナのマンションでかくまわれているとき、ラングドンの服のポケットから1本のライトペンが出てくる。その映像はダンテの叙事詩神曲の地獄篇(インフェルノ)だった。しかしそれは本物ではなく模写で、その中に細かい暗号が書き込まれている絵図だった。それを調べて行くうちに、ラングドン教授はある人物にたどり着く。


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 ベン・フォスター

 それは、大富豪の生化学者ゾブリスト(ベン・フォスター)。彼は人口爆発による人類滅亡を回避する唯一の解決策だとして、恐るべき計画を目論んでいた。シエナとともに次々と立ちはだかる謎を読み解き、ゾブリストの野望を食い止めるべく奔走するラングドンだったが…。


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 シセ・バベット・クヌッセン

 この後色々な人物が次々と登場し、これは味方なのか敵なのかと考えるのが面白かった。また、ラングドンの心の恋人ともいえるWHO(世界保健機構)のボス、エリザベス(シセ・バベット・クヌッセン)と彼が、この事件を通して協力し合ううちに心が通い合う様子が、大人の友情の温かさを感じさせた。かつては恋人同士で、お互いの仕事を尊重しあうがために別れたのだが、いつまでも相手のことを大事に思っていることがすばらしいと思いました。

 最後まで謎が多くて、それがだんだんわかってくるところが面白いし、登場人物がそれぞれ意外性を持っているのも作品を面白くさせていると思います。改めてトム・ハンクスは上手い俳優だと思いました。彼の新しい作品に期待します。

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 フェリシティ・ジョーンズ、大活躍ですね!今作品でも、重要な役どころ

原題:INFERNO  監督:ロン・ハワード  出演:トム・ハンクス、 
フェリシティ・ジョーンズ、 ベン・フォスター、 シセ・バベット・クヌッセン、
インファン・カーン、 オマール・シー
2016年 アメリカ



ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ [外国映画]

 コリン・ファースとジュード・ロウの顔合わせなら、絶対見なくちゃと思って観に行きました。二人は対照的な性格の天才を演じて、とても観ごたえがあり、感動しました。


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 1920年代のニューヨーク。アーネスト・ヘミングウェイ(ドミニク・ウェスト)の「老人と海」やスコット・F・フィッツジェラルド(ガイ・ピアース)の「グレート・ギャツビー」などの名作を手がけた編集者マックス・パーキンズ(コリン・ファース)の元に、無名の作家トマス・ウルフ(ジュード・ロウ)の原稿が持ち込まれる。
 編集者という仕事は大変だ。私もプロの作家の先生にエッセイの生原稿をみせてもらったことがあるが、この映画であったように、原稿は線を引いて文章が消され、そこに編集者の人が別の文を加えていた。それが容赦なく、といった感じだったのでびっくりしたことがある。この映画の編集者パーキンズはトマス・ウルフの原稿をほぼ半分になるまでに削るのだった。


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 ジュウド・ロウ&ニコール・キッドマン

 パーキンズはトマス・ウルフの才能にほれ込み、彼が感情のままにペンを走らせ、際限なく文章を生み出すのを精神的に支える。ウルフは天才だが、性格はまるで子供のようにわがままで傷つきやすい青年だったからだ。


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 ウルフの処女作「天使よ故郷を見よ」が、パーキンズの導きでベストセラーに輝くと、二人は更なる大作に取りかかる。ウルフは昼夜を問わず執筆に没頭し、パーキンズは妻ルイーズ(ローラ・リニー)や家庭を犠牲にし、ウルフの愛人アリーン(ニコール・キッドマン)は二人の関係に嫉妬する。


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 ニコール・キッドマンは好きな女優さんの一人。美しくて、子どものようなウルフを金銭面でも際限なく援助し、ウルフのわがままもがまんする愛人アリーンを好演している。ウルフによって翻弄されるが、彼を突き放すことができないのだった。


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 やがて第二作が完成すると、ウルフは「この本をパーキンズに捧げる」と献辞を付け足し、ヨーロッパへ旅立ってしまう。というのも「ウルフはパーキンズなしでは書けない」という世間の風評に傷ついて、一人でも書けると証明したかったからだ。

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 ガイ・ピアース演じるフィッツジェラルド

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 ドミニク・ウェスト演じるヘミングウェイ 

 しかしウルフはヘミングウェイやフィッツジェラルドなどを訪ね歩くが、だれもパーキンズの悪口をいわなかった。この二人に扮したドミニク・ウェストとガイ・ピアースが、まさにこの作家たちが本当にこうだったに違いないと想像させるような、はまり役だった。(余談ですが、私はこの間バーでヘミングウェイの好きなお酒パパダイキリを飲んだのですが、甘くなくとてもおいしいカクテルでした。)

 ウルフはますます孤独に追い詰められ、ようやく自分にとってはパーキンズこそが最大の理解者であり、彼なしでは本は出版できないのだと悟る。そしてパーキンズに友情を込めて、もう一度会いたいと手紙をかくのだが……。


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 コリン・ファースの演じる編集者パーキンズは仕事の鬼であるが、家庭ではよき父でありよき夫だった。対するジュウド・ロウのトマス・ウルフは天才でわがままで子供だが、とても魅力的な男だった。この二人の正反対の性格の男性像を二人の俳優が、余すところなく演じているのが面白くて、とても興味深い映画だったと思う。ちなみに、私がどちらが好きかと言われれば、ジュウド・ロウのトマス・ウルフかもしれない。やはりこういう破滅型の男性に魅かれるところがある。原作も面白そうなので読んでみたいものだ。

原題:GENIUS 監督:マイケル・グランデージ 出演:コリン・ファース、 ジュウド・ロウ、
ニコール・キッドマン、 ローラ・リニー、 ガイ・ピアース、 ドミニク・ウェスト、etc.
2015年 イギリス


文庫 名編集者パーキンズ 上 (草思社文庫)

文庫 名編集者パーキンズ 上 (草思社文庫)

  • 作者: A.スコット バーグ
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2015/06/02
  • メディア: 文庫



文庫 名編集者パーキンズ 下 (草思社文庫)

文庫 名編集者パーキンズ 下 (草思社文庫)

  • 作者: A.スコット バーグ
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2015/06/02
  • メディア: 文庫



ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring YEARS [外国映画]

 イギリス・リヴァプールのキャバーン・クラブで活動を始めたザ・ビートルズは、1961年から62年にかけてイギリスの音楽シーンに華々しく登場し、1963年の終わりにはヨーロッパ・ツアーを始める。そして1964年2月9日、アメリカの人気テレビ番組『エド・サリヴァン・ショー』への出演をきっかけに全世界的に人気を爆発させた。同年6月から初のワールド・ツアーをスタートさせると、以後2年間は過酷なスケジュールをこなし続け、ツアー活動を停止した1966年8月の時点でバンドは世界15カ国90都市166回のコンサートを行っていた。こうしたツアーに助長されて、ビートルマニア”と呼ばれる社会現象が誕生した。それは世界で初めて、文化のグローバル化が始まるきっかけとなった。


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 とにかく懐かしかった。でもこんなにすごいバンドだったとは、当時は知らなかったのだ。リヴァプールのキャバーン・クラブのシーンは本当に若い若い4人組だった。それからどんどんビッグになっていく様が当時のヒット曲とともに映像で流れる。


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 日本での武道館ライブでは、武道の殿堂でロックバンドのコンサートとは何事かという反対があったり、右翼の「ビートルズ来日排斥運動」などがあったため、彼らはホテルの部屋から出られなかったということもわかった。本当に大変だったんだなと思った。


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 ビートルズはどこへいっても、大群衆に囲まれて警備をする警官の数も半端じゃなかった。彼らが会場へ向かう車も遅々として進まないくらいだった。この4人組の知られざる姿を、彼らのライブ活動期に焦点を当て描き出している。


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 この中には、ポール、ジョン、リンゴ、ジョージの些細な会話やインタビューとともに、色々な著名人のインタビューが織り込んであり、それらは分析的で面白かった。日本人は浅井慎平さん(写真家)だった。

 彼らがツアーをしたのは、1963年から66年のわずか4年間だったとは信じられない。しかしその間世界中で、166回のライヴを行って、その他はスタジオに籠ってレコーディングの毎日。燃え尽きたのもわかる。

 最後にアメリカ「シェア・スタジアム」でのライヴ録画がそのまま流される。音楽史上初のマンモス球場でのライヴで、5万6千人以上の観客を動員した。若い女の子たちが失神して次々に警備員に運び出される様子も映し出されていた。

 最後の最後に、4人のインタビューの録音が流れる。彼らが本当に好きだったのは「音楽を創るという作業」だったのだそうだ。


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 私は初期のアルバムよりも後半の音楽のほうが好きだ。私の好きなアルバムは「サージェントペパーズロンリーハーツクラブバンド」1967年英国、「Abby Road」1969年英国、「Let It Be」1970年英国、「Hey Jude」1970年米国の4枚だ。

 ビートルズと同じ世代に生きた幸運をかみしめた一日だった。

原題:THE BEATLES: EIGHT DAYS A WEEK ‐ THE TOURING YEARS   
監督:ロン・ハワード
2016年 イギリス


レッドタートル ある島の物語 [外国映画]

 これは何とも不思議な物語である。美しいアニメーションで、セリフがなく映像と音楽のみの作品だ。アニメーションの力というものを感じることができた。


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 嵐の中、荒れ狂う海に放り出された男が、九死に一生を得てある無人島に辿り着く。必死に島からの脱出を試みるものの、見えない力によって何度も島に引き戻されてしまう。絶望的な状況に置かれた男の前にある日、1人の女が現れる……。


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 最初の嵐の中の風景が音楽と映像(アニメーション)だけなのに、すごく迫力があって怖いくらいだった。それから男が島に流れ着いて、倒木でいかだを作って島から脱出しようと試みるのだが、それが海へいかだを出そうとすると、ほんの少し海面を進んだとたん、いかだはバラバラにこわれてしまう。それが3度も繰り返され、男は気力を失くして自棄になる。


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 次の朝目覚めると、大きな赤いウミガメが海から海岸へ上がってくる。自棄になっている男はウミガメを棒切れでたたき、挙句の果てにはウミガメをひっくり返して置き去りにしてしまうのだった。

 けれども時間が経って、男がウミガメの様子を見に戻ってくると、ウミガメは死んでしまっているのか、力なくだらんとしている。そこで男は海水を汲んできてカメにかけてやるが、生き返らない。

 それからまた時間が経過したときに男が見に行くと、不思議なことにカメの胸の甲羅が割れて、若い女性がその中にいるのだった。


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 そこから二人の生活が始まる。海で貝を取って食べたり、陸地の池で水浴びをしたり……。それからまた時間が経って次の場面は幼い子供連れの二人だった。親子3人の楽しそうな日常生活の場面が描かれる。そして子供が若者に成長したある日、大きな出来事が起こる。

 それは海からの大津波で、陸地の木々はなぎ倒され、逃げ惑う家族3人がどうなるのかと……。この場面も迫力満点で怖かった。アニメーションでこんな迫力のある映像が創れることに感動した。


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 助かった3人は元の穏やかな生活を取り戻すが、成長した息子はほかの地に思いをはせ、3匹のウミガメと一緒に旅立っていく。


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 最後は、年老いて白髪と白髭を蓄えた男が、女と眠っているときに天国へ旅立ってしまう。そして女は……。

 とてもファンタスティックな物語なのだが、違和感なくその世界に浸ることができた。これはアニメーションが魅力的で優れた美術絵画のような画面だったからだろう。例えは、木の葉がざわざわと揺れる細かい描写があるのだが、この1分にも満たない場面にどのくらいの人間の労力が注ぎ込まれたのかと考えると、気が遠くなりそうだ。作品完成に8年の年月を要したのもうなずける。
 セリフがないので余計なことを考える必要がなく、映画の世界に浸りこんでいた。そしてそのストーリーは、男女の純粋な愛情と家族の物語。その清浄さが心を打つすばらしい物語だった。ぜひご覧ください。

原題:LA TORTUE ROUGE (THE RED TURTLE) 監督:マイケル・ドゥドク・ドゥ・ヴイット
プロデューサー:鈴木敏夫 アーティスティックプロデューサー:高畑勲
2016年 日本/フランス/ベルギー
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