So-net無料ブログ作成

モン・ロワ(MON ROI) 愛を巡るそれぞれの理由 [外国映画]

 ヴァンサン・カッセルが好きなので、観に行きました。彼はアメリカ的なハンサムとは違う、フランス的な男前だと思います。ヴァンサンの役は、魅力的だけれど破天荒なレストランの経営者。そして主役の女弁護士トニーは、この作品の監督でもあるエマニュエル・ベルコ。二人の激しい恋の始まりと結婚、そして別れを描いた大人の恋愛映画です。


モン・ロワ1.jpg


 物語の冒頭は、スキー事故で大怪我をしたトニー(エマニュエル・ベルコ)がリハビリセンターでリハビリに励んでいるシーンから始まる。彼女は10年間一緒に暮らしたジョルジオ(ヴァンサン・カッセル)との波乱に満ちた関係を振り返っていく。


 トニーは学生のとき憧れだったレストランの経営者ジョルジオとパリで再開し、きっかけをつかみ彼の気持ちを自分に向けることに成功する。ジョルジオからのアプローチも反応が早く、二人はたちまち激しい恋に陥っていく。


モン・ロワ2.jpg


 ジョルジオに案内されたクラブでトニーは、若く美しい女アニエス(クリステル・サン・ルイ・
オーギュスタン)から「私の彼を奪った」などと言われるが、「僕の子供を産んでほしい」というジョルジオの言葉に愛を感じて結婚する。


モン・ロワ4.jpg


 しかし結婚後、当のアニエスはトニーの妊娠を知って、自殺未遂を引き起こす。ジョルジオは彼女が精神不安定なため見捨てることはできないという。「彼女は妹のようなものだ」と彼は言うが、トニーの心は穏やかではなかった。そしてついにジョルジオとトニーは可愛い男の子を授かる。


モン・ロワ3.jpg


 しかし、赤ちゃんの名前を付けるとき、ジョルジオはアニエスに名付け親になってもらう。


モン・ロワ5.jpg
 トニーとジョルジオとアニエス

 子どもができてからも、ジョルジオがクスリを使っていたことがわかったり、新たな浮気の現場をトニーが見つけてしまったり……。その他色々なゴタゴタがあり、トニーは心底疲れて少しおかしくなってしまう。弟のソラル(ルイ・ガレル)が心配して、トニーにジョルジオと別れるように忠告する。ジョルジオはクスリを止めてセラピーに通い、まともになることを誓うがときすでに遅しで、トニーは自分の仕事である弁護士業で新しい大きな仕事を手にし、離婚に踏み切るのだった。

 こうしてトニーはこの不幸な結婚から立ち直るが、子供はジョルジオに引き取られ、二人は子供の成長の経緯を見守る役所の職員との話し合いの場で再会する。トニーがあれほど心配したのに子供は問題なく順調に育っていた。ジョルジオも今までの感じとは違って、まともな雰囲気の男性になっていた。セラピーが成功したのだろうか。だがジョルジオは会ってもトニーと目を合わそうともせず、挨拶もそこそこにその場を去るのだった。

 どんなに深く愛し合っていても、愛というものが終わったら、男女はこんなにも他人になるのだなということを、最後に見せつけられた感じがした。結局トニーとジョルジオはお互いを理解できなかったのか。恋愛というもののはかなさを表現した場面だった。それにしても、悲しい終わり方だなと思った。こんな容赦のない描き方ではなく、もう少し温かみのあるエンディングが、私は好きだ。

原題:MON ROI/ MY KING  監督:エマニュエル・ベルコ  出演:エマニュエル・ベルコ、
ヴァンサン・カッセル、 ルイ・ガレル、 イジルド・ル・ベスコ、 
クリステル・サン・ルイ・オーギュスタン
2015年 フランス




ラ・ラ・ランド [外国映画]

 とてもきれいな映画でした。お洒落でストーリーは恋愛の王道といった感じのミュージカルです。これを演技に定評のあるエマ・ストーンとライアン・ゴズリングが演じています。二人とも歌って踊れるという所が新発見でした。しかも演技の部分は二人の演技力がいきてました。なかなか面白い映画でもう一度見てもいいなと思いました。


la2.jpg


アメリカ・ロサンゼルス。女優を目指すミア(エマ・ストーン)は映画スタジオのカフェで働きながらオーディションを受け続けているが、落ちてばかりだった。ある日、ふと立ち寄った場末のバーで、ピアノを弾いているセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と出会う。彼の夢は、自分の店を持って思う存分本格的なジャズを演奏することだった。恋に落ち、互いに応援しあう二人だったが……。


la4.jpgla5.jpg


↑の写真は冒頭のハイウェイでのダンスシーン。すごくエネルギッシュですばらしかった。色々なダンサーがいて、しかもダンスが揃っていて寸分の狂いもないって感じだった。どれほど練習したんだろう。


 エマとライアンが二人で踊るシーン。演技派の二人がダンスも上手いなんて素敵だ。新しい一面をのぞかせてくれたと思う。


la1.png


 二人は急速に仲良くなり、生活を共にする。ミアはそれでもオーディションを落ちてばかりで、だんだん自信を失っていく。それにひきかえセバスチャンは、将来自分の店を持ちたいという夢を実現するため、あるバンドに所属しツアーにでかける。そのバンドが売れたので、ツアーに行きっぱなし状態になり、エマはフラストレーションが溜まり二人は大喧嘩する。このシーンは、二人が初めは仲良くしているのに、だんだんと本音が出てきて喧嘩になる。ここではエマとライアンの演技力が十分に発揮されておもしろいシーンになったと思う。

 作品内で演奏されるジャズもとてもよかったと思う。そしてセバスチャンが参加するバンドのリーダー、キースをジョン・レジェンドが演じている。彼はR&Bの第一人者だが、バンドの演奏する音楽がすごくキレがよくて最高だった!

 最後は少しビターテイストで、哀愁のある終わり方だが、お互い愛しあえてよかったという二人の表情が、物語をいいものにしていた。

 エマ・ストーンは大好きな女優さんで、今回もとてもよかった。ライアン・ゴズリングは今までミニシアター系のあまり目立たたない作品に多く出ていたと記憶しているが、今回の役はなかなか魅力的だった。これからもこの二人の活躍を祈っている。


la6.jpgla7.jpg

原題:LA LA LAND  監督:ディミアン・チャゼル  出演:エマ・ストーン、
ライアン・ゴズリング、 ジョン・レジェンド、 ローズマリー・デウィットetc.
2016年 アメリカ



スノーデン [外国映画]

 スノーデンの名前が今けっこうニュースでも話題になってますよね。トランプ大統領がロシアのプーチンさんにスノーデンをアメリカに引き渡せと言っているとか、怖いですね~!


スノ7.jpg


 この有名な事件をオリバー・ストーン監督が映画化、ジョセフ・ゴードン=レヴィットが主演を務めた。NSA(米国国家安全保障局)の職員、エドワード・スノーデンは、アメリカを愛する平凡な若者だったが、仕事をしていく上で、色々な秘密がわかり危機感を募らせたあげく、世界最強の情報機関に反旗を翻す決意を固めていく。


スノ3.jpg


 香港の高級ホテル、ドキュメンタリー作家のローラ・ポイトラス、ガーディアン紙の記者グレン・グリーンウォルドのいる一室に、一人の青年がやってくる。彼の名はエドワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。アメリカ国家安全保障局(NSA)職員であるスノーデンは、ホテルに集まった面々に機密資料を提供し、アメリカ政府が秘密裏に構築した国際的な監視プログラムの存在を告発した。国を愛するごく平凡な若者だった彼は、CIAやNSAで勤務するうちに、その恐るべき実態に直面。テロリスト、民間企業、さらには個人までも対象にアメリカ国内のみならず全世界のメールや携帯電話での通話を監視する体制に危機感を募らせ、キャリアも幸せな生活も捨ててまでリークを決意する。


スノ5.jpg
 ジョセフ・ゴードン=レヴィット&リンゼイ・ミルズ

 とにかく怖い映画だと思った。自分の生活が誰かに監視されていると思うと、精神的に参ってしまいそうだ。果たしてスノーデンの告発したことは本当なのだろうか。映画を観る限りでは、スノーデンの立場から色々なことを言っているので、スノーデンが正しいように思える。


スノ4.jpg


 けれどもTV番組で専門家が言っていたのだが、テロリスト側が傍受対策を強化して、通信の暗号化など、アナログな方法で連絡しあうようになったので、テロリストの動きが捉えにくくなった一面もあるとか。真実はわかりませんが。


スノ1.jpg


 ストーリーはサスペンスフルで、恋人シェイリーン・ウッドリー(リンゼイ・ミルズ)との人間関係がかなり細やかに描かれるのが良かったと思う。そしてジョセフ・ゴードン=レヴィットが、最後のほうに登場する本物のスノーデンと感じがすごく似ているのが驚きだった。というのか、ジョセフの創り方が上手かったんでしょう。もともと彼は好きな俳優なのだが、いい主演作を得たと思う。これからさらに魅力的な俳優に飛躍して行ってほしいものだ。面白い映画なので、お勧めです。


スノ6.jpg
 本物のスノーデン氏です。似てるでしょう?

原題:SNOWDEN 監督:オリヴァー・ストーン 出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、
シェイリーン・ウッドリー、 メリッサ・レオ、 トム・ウイルキンソン、 ニコラス・ケイジ
2016年 アメリカ 



インフェルノ [外国映画]

 「ハドソン川の奇跡」のトム・ハンクスを観ていいなと思って、この映画も観てみました。これは
出だしからミステリー仕立てで面白かったです。


インフェルノ2.jpgインフェルノ5.jpg
 トム・ハンクス&フェリシティ・ジョーンズ

 宗教象徴学者ロバート・ラングドン(トム・ハンクス)はフィレンツエの病院で目覚める。けれども記憶が鮮明でなく、なぜ自分がここにいるのかもよくわからないほどだ。彼の担当医は女医のシエナ(フェリシティ・ジョーンズ)で、治療してもらっている最中に病室を謎の女に襲われ、シエナの助けを得て、からくも脱走するのだった。
 この最初の展開から、ラングドン教授の脳内が画面に出てきて、悪夢だの自分が狙撃される記憶だのの映像が入り混じって、観客も謎をかかえたまま映像に巻き込まれていくのだ。かなり面白い展開だった。


インフェルノ4.jpg
 ダンテのインフェルノ


 追手からのがれてシエナのマンションでかくまわれているとき、ラングドンの服のポケットから1本のライトペンが出てくる。その映像はダンテの叙事詩神曲の地獄篇(インフェルノ)だった。しかしそれは本物ではなく模写で、その中に細かい暗号が書き込まれている絵図だった。それを調べて行くうちに、ラングドン教授はある人物にたどり着く。


インフェルノ3.jpg
 ベン・フォスター

 それは、大富豪の生化学者ゾブリスト(ベン・フォスター)。彼は人口爆発による人類滅亡を回避する唯一の解決策だとして、恐るべき計画を目論んでいた。シエナとともに次々と立ちはだかる謎を読み解き、ゾブリストの野望を食い止めるべく奔走するラングドンだったが…。


インフェルノ6.jpg
 シセ・バベット・クヌッセン

 この後色々な人物が次々と登場し、これは味方なのか敵なのかと考えるのが面白かった。また、ラングドンの心の恋人ともいえるWHO(世界保健機構)のボス、エリザベス(シセ・バベット・クヌッセン)と彼が、この事件を通して協力し合ううちに心が通い合う様子が、大人の友情の温かさを感じさせた。かつては恋人同士で、お互いの仕事を尊重しあうがために別れたのだが、いつまでも相手のことを大事に思っていることがすばらしいと思いました。

 最後まで謎が多くて、それがだんだんわかってくるところが面白いし、登場人物がそれぞれ意外性を持っているのも作品を面白くさせていると思います。改めてトム・ハンクスは上手い俳優だと思いました。彼の新しい作品に期待します。

インフェルノ7.jpg
 フェリシティ・ジョーンズ、大活躍ですね!今作品でも、重要な役どころ

原題:INFERNO  監督:ロン・ハワード  出演:トム・ハンクス、 
フェリシティ・ジョーンズ、 ベン・フォスター、 シセ・バベット・クヌッセン、
インファン・カーン、 オマール・シー
2016年 アメリカ



ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ [外国映画]

 コリン・ファースとジュード・ロウの顔合わせなら、絶対見なくちゃと思って観に行きました。二人は対照的な性格の天才を演じて、とても観ごたえがあり、感動しました。


ベスト1.jpg


 1920年代のニューヨーク。アーネスト・ヘミングウェイ(ドミニク・ウェスト)の「老人と海」やスコット・F・フィッツジェラルド(ガイ・ピアース)の「グレート・ギャツビー」などの名作を手がけた編集者マックス・パーキンズ(コリン・ファース)の元に、無名の作家トマス・ウルフ(ジュード・ロウ)の原稿が持ち込まれる。
 編集者という仕事は大変だ。私もプロの作家の先生にエッセイの生原稿をみせてもらったことがあるが、この映画であったように、原稿は線を引いて文章が消され、そこに編集者の人が別の文を加えていた。それが容赦なく、といった感じだったのでびっくりしたことがある。この映画の編集者パーキンズはトマス・ウルフの原稿をほぼ半分になるまでに削るのだった。


ベスト2.jpg
 ジュウド・ロウ&ニコール・キッドマン

 パーキンズはトマス・ウルフの才能にほれ込み、彼が感情のままにペンを走らせ、際限なく文章を生み出すのを精神的に支える。ウルフは天才だが、性格はまるで子供のようにわがままで傷つきやすい青年だったからだ。


ベスト6.jpg


 ウルフの処女作「天使よ故郷を見よ」が、パーキンズの導きでベストセラーに輝くと、二人は更なる大作に取りかかる。ウルフは昼夜を問わず執筆に没頭し、パーキンズは妻ルイーズ(ローラ・リニー)や家庭を犠牲にし、ウルフの愛人アリーン(ニコール・キッドマン)は二人の関係に嫉妬する。


ベスト3.jpg


 ニコール・キッドマンは好きな女優さんの一人。美しくて、子どものようなウルフを金銭面でも際限なく援助し、ウルフのわがままもがまんする愛人アリーンを好演している。ウルフによって翻弄されるが、彼を突き放すことができないのだった。


ベスト10.jpg


 やがて第二作が完成すると、ウルフは「この本をパーキンズに捧げる」と献辞を付け足し、ヨーロッパへ旅立ってしまう。というのも「ウルフはパーキンズなしでは書けない」という世間の風評に傷ついて、一人でも書けると証明したかったからだ。

ベスト4.jpg
 ガイ・ピアース演じるフィッツジェラルド

ベスト7.jpg
 ドミニク・ウェスト演じるヘミングウェイ 

 しかしウルフはヘミングウェイやフィッツジェラルドなどを訪ね歩くが、だれもパーキンズの悪口をいわなかった。この二人に扮したドミニク・ウェストとガイ・ピアースが、まさにこの作家たちが本当にこうだったに違いないと想像させるような、はまり役だった。(余談ですが、私はこの間バーでヘミングウェイの好きなお酒パパダイキリを飲んだのですが、甘くなくとてもおいしいカクテルでした。)

 ウルフはますます孤独に追い詰められ、ようやく自分にとってはパーキンズこそが最大の理解者であり、彼なしでは本は出版できないのだと悟る。そしてパーキンズに友情を込めて、もう一度会いたいと手紙をかくのだが……。


ベスト9.jpg

 コリン・ファースの演じる編集者パーキンズは仕事の鬼であるが、家庭ではよき父でありよき夫だった。対するジュウド・ロウのトマス・ウルフは天才でわがままで子供だが、とても魅力的な男だった。この二人の正反対の性格の男性像を二人の俳優が、余すところなく演じているのが面白くて、とても興味深い映画だったと思う。ちなみに、私がどちらが好きかと言われれば、ジュウド・ロウのトマス・ウルフかもしれない。やはりこういう破滅型の男性に魅かれるところがある。原作も面白そうなので読んでみたいものだ。

原題:GENIUS 監督:マイケル・グランデージ 出演:コリン・ファース、 ジュウド・ロウ、
ニコール・キッドマン、 ローラ・リニー、 ガイ・ピアース、 ドミニク・ウェスト、etc.
2015年 イギリス


文庫 名編集者パーキンズ 上 (草思社文庫)

文庫 名編集者パーキンズ 上 (草思社文庫)

  • 作者: A.スコット バーグ
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2015/06/02
  • メディア: 文庫



文庫 名編集者パーキンズ 下 (草思社文庫)

文庫 名編集者パーキンズ 下 (草思社文庫)

  • 作者: A.スコット バーグ
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2015/06/02
  • メディア: 文庫



ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring YEARS [外国映画]

 イギリス・リヴァプールのキャバーン・クラブで活動を始めたザ・ビートルズは、1961年から62年にかけてイギリスの音楽シーンに華々しく登場し、1963年の終わりにはヨーロッパ・ツアーを始める。そして1964年2月9日、アメリカの人気テレビ番組『エド・サリヴァン・ショー』への出演をきっかけに全世界的に人気を爆発させた。同年6月から初のワールド・ツアーをスタートさせると、以後2年間は過酷なスケジュールをこなし続け、ツアー活動を停止した1966年8月の時点でバンドは世界15カ国90都市166回のコンサートを行っていた。こうしたツアーに助長されて、ビートルマニア”と呼ばれる社会現象が誕生した。それは世界で初めて、文化のグローバル化が始まるきっかけとなった。


bt1.jpg


 とにかく懐かしかった。でもこんなにすごいバンドだったとは、当時は知らなかったのだ。リヴァプールのキャバーン・クラブのシーンは本当に若い若い4人組だった。それからどんどんビッグになっていく様が当時のヒット曲とともに映像で流れる。


bt2.jpg


 日本での武道館ライブでは、武道の殿堂でロックバンドのコンサートとは何事かという反対があったり、右翼の「ビートルズ来日排斥運動」などがあったため、彼らはホテルの部屋から出られなかったということもわかった。本当に大変だったんだなと思った。


bt5.jpg


 ビートルズはどこへいっても、大群衆に囲まれて警備をする警官の数も半端じゃなかった。彼らが会場へ向かう車も遅々として進まないくらいだった。この4人組の知られざる姿を、彼らのライブ活動期に焦点を当て描き出している。


bt4.jpg


 この中には、ポール、ジョン、リンゴ、ジョージの些細な会話やインタビューとともに、色々な著名人のインタビューが織り込んであり、それらは分析的で面白かった。日本人は浅井慎平さん(写真家)だった。

 彼らがツアーをしたのは、1963年から66年のわずか4年間だったとは信じられない。しかしその間世界中で、166回のライヴを行って、その他はスタジオに籠ってレコーディングの毎日。燃え尽きたのもわかる。

 最後にアメリカ「シェア・スタジアム」でのライヴ録画がそのまま流される。音楽史上初のマンモス球場でのライヴで、5万6千人以上の観客を動員した。若い女の子たちが失神して次々に警備員に運び出される様子も映し出されていた。

 最後の最後に、4人のインタビューの録音が流れる。彼らが本当に好きだったのは「音楽を創るという作業」だったのだそうだ。


bt6.jpg


 私は初期のアルバムよりも後半の音楽のほうが好きだ。私の好きなアルバムは「サージェントペパーズロンリーハーツクラブバンド」1967年英国、「Abby Road」1969年英国、「Let It Be」1970年英国、「Hey Jude」1970年米国の4枚だ。

 ビートルズと同じ世代に生きた幸運をかみしめた一日だった。

原題:THE BEATLES: EIGHT DAYS A WEEK ‐ THE TOURING YEARS   
監督:ロン・ハワード
2016年 イギリス


レッドタートル ある島の物語 [外国映画]

 これは何とも不思議な物語である。美しいアニメーションで、セリフがなく映像と音楽のみの作品だ。アニメーションの力というものを感じることができた。


タートル1.jpg


 嵐の中、荒れ狂う海に放り出された男が、九死に一生を得てある無人島に辿り着く。必死に島からの脱出を試みるものの、見えない力によって何度も島に引き戻されてしまう。絶望的な状況に置かれた男の前にある日、1人の女が現れる……。


タートル2.jpg


 最初の嵐の中の風景が音楽と映像(アニメーション)だけなのに、すごく迫力があって怖いくらいだった。それから男が島に流れ着いて、倒木でいかだを作って島から脱出しようと試みるのだが、それが海へいかだを出そうとすると、ほんの少し海面を進んだとたん、いかだはバラバラにこわれてしまう。それが3度も繰り返され、男は気力を失くして自棄になる。


タートル4.jpg

 
 次の朝目覚めると、大きな赤いウミガメが海から海岸へ上がってくる。自棄になっている男はウミガメを棒切れでたたき、挙句の果てにはウミガメをひっくり返して置き去りにしてしまうのだった。

 けれども時間が経って、男がウミガメの様子を見に戻ってくると、ウミガメは死んでしまっているのか、力なくだらんとしている。そこで男は海水を汲んできてカメにかけてやるが、生き返らない。

 それからまた時間が経過したときに男が見に行くと、不思議なことにカメの胸の甲羅が割れて、若い女性がその中にいるのだった。


タートル5.jpg


 そこから二人の生活が始まる。海で貝を取って食べたり、陸地の池で水浴びをしたり……。それからまた時間が経って次の場面は幼い子供連れの二人だった。親子3人の楽しそうな日常生活の場面が描かれる。そして子供が若者に成長したある日、大きな出来事が起こる。

 それは海からの大津波で、陸地の木々はなぎ倒され、逃げ惑う家族3人がどうなるのかと……。この場面も迫力満点で怖かった。アニメーションでこんな迫力のある映像が創れることに感動した。


タートル7.jpg


 助かった3人は元の穏やかな生活を取り戻すが、成長した息子はほかの地に思いをはせ、3匹のウミガメと一緒に旅立っていく。


タートル6.jpg


 最後は、年老いて白髪と白髭を蓄えた男が、女と眠っているときに天国へ旅立ってしまう。そして女は……。

 とてもファンタスティックな物語なのだが、違和感なくその世界に浸ることができた。これはアニメーションが魅力的で優れた美術絵画のような画面だったからだろう。例えは、木の葉がざわざわと揺れる細かい描写があるのだが、この1分にも満たない場面にどのくらいの人間の労力が注ぎ込まれたのかと考えると、気が遠くなりそうだ。作品完成に8年の年月を要したのもうなずける。
 セリフがないので余計なことを考える必要がなく、映画の世界に浸りこんでいた。そしてそのストーリーは、男女の純粋な愛情と家族の物語。その清浄さが心を打つすばらしい物語だった。ぜひご覧ください。

原題:LA TORTUE ROUGE (THE RED TURTLE) 監督:マイケル・ドゥドク・ドゥ・ヴイット
プロデューサー:鈴木敏夫 アーティスティックプロデューサー:高畑勲
2016年 日本/フランス/ベルギー

ハドソン川の奇跡 [外国映画]

 7年前ハドソン川に不時着した航空機のことは、やはり覚えていますね。あれがどんな事故だったかは忘れていたんですが、映画を観てこんなにすごいことだったのかと、改めてこの出来事がまさに「奇跡」だったんだと思いました。


ハド1.jpg


 2009年1月15日、極寒のニューヨーク。160万人が暮らすマンハッタン上空850メートルで突如、航空機事故が発生。全エンジンが完全停止し、制御不能となった旅客機が高速で墜落を始める。サレンバーガー機長(トム・ハンクス)の必至の操縦により、70トンの機体は目の前を流れるハドソン川に着水。“乗員乗客155名全員無事”という奇跡の生還を果たした。着水後も、浸水する機内から乗客の避難を指揮した機長は、国民的英雄として称賛を浴びる。だが、その裏側では、彼の判断を巡って、国家運輸安全委員会の厳しい追及が行われていた……。


ハド6.jpg
 副機長役のアーロン・エッカートとトム・ハンクス

 一つ間違えば、大惨事になっていた事故。しかも人為的な事故ではなく、鳥の群れが飛んでいる飛行機のエンジンにはいりこみ、両エンジンとも停止という非常事態。それを管制塔の指示通りではなく、自分の経験から近くの別の飛行場に着陸することは不可能と判断し、ハドソン川に不時着したサリー・サレンバーガー機長(トム・ハンクス)の勇気はすごいと思った。


ハド2.jpg 
ハド3.jpg


 この機長を演じたトム・ハンクスはとても魅力的だった。今年1月にスピルバーグ監督の映画「ブリッジ・オブ・スパイ」をみたときも、トム・ハンクスは年を経るごとに良くなっていくなぁと思っていたのだが、今回の機長役は本当にすばらしかった。やはりクリント・イーストウッドの描き方が上手かったのだろう。臨場感あふれる現場の様子が観客によく伝わってきたと思う。やはりこの映画とこの事故の主役は、映画の原題にもあるように「SULLY」ことサリー・サレンバーガー機長なのだ。


ハド4.jpg


 エンドロールで本物のニュース映像に登場する機長と奥さん、そして乗客たちのインタビューがでてくるが、こういう九死に一生を得る事故を経験した人たちの心の絆というものは、非常に強いものなのだと実感した。つくづく奇跡が起こってよかったと思わずにいられなかった。

 クリント・イーストウッド作品はとても上手いのだが、題材はかなり怖いものがほとんどだと思う。これからも命の続く限り、新作を撮り続けてほしいものだ。


ハド5.jpg
 やっぱりカッコいいですね、監督!

原題:SULLY 監督:クリント・イーストウッド 出演:トム・ハンクス
アーロン・エッカート、 ローラ・リニー、 アンナ・ガンetc.
2016年 アメリカ




 

 

アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅 [外国映画]

 新作品は一段と創りこんだ感じになっていて、とても楽しかったです。ジョニデがメイクで素顔がほとんどわからないのが残念でしたけど。


アリスⅡ③.jpg


 アリス(ミア・ワシコウスカ)が不在の不思議の国で事件が発生。マッドハッター(ジョニー・デップ)の悲しい過去が、彼を窮地へ追いやる。過去に心を奪われ、帰らぬ家族を待ち続けるマッドハッターを救うため、アリスは時間の番人タイム(サシャ・バロン・コーエン)と戦い、過去へと旅立つが……。彼女を待ち受けるのは、秘められた真実とタイムとの戦い。果たして、運命に逆らって過去を変え、マッドハッターを救うことができるのか?さらには、チェシャ猫や赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)と白の女王(アン・ハサウェイ)たちの驚くべき幼年期の秘密も明らかに……。


アリスⅡ⑤.jpg


 今回はおなじみのキャラクターに加えて、タイム役のサシャ・バロン・コーエンが加わり面白くなっていた。新しい作品ではマッド・ハッター(ジョニー・デップ)の過去の悲しい出来事が明らかになったり、赤の女王と白の女王の過去の確執もわかる。そしてアリスは時間をさかのぼって、悲しい過去や確執を正そうと活躍するのだ。


アリスⅡ②.jpg


 主演のミア・ワシコウスカは結構素顔に近い感じで、他の特殊メイクしている登場人物とは違う感じがかえって目立っていた。衣装も中国か東南アジア風の刺繍を施した色鮮やかな衣装が素敵だった。ジョニー・デップはメイクしすぎて、誰だか分らなかったのが残念だった。赤の女王のヘレナ・ボナム・カーターもメイクがあまりにも凄すぎて、ちょっと引いてしまうくらい。でも赤の女王と白の女王の過去が振り返られて、二人がなぜ犬猿の仲になったのか、そして赤の女王はどうしてあんなに皆を憎むのかわかってくる。他のCGの登場人物たちも楽しかった。特にチェシャ猫はとてもかわいかった。


アリスⅡ④.jpg
 チェシャ猫


 結構盛りだくさんなストーリーだが、CGの映像美が凄かったし、筋書きも割合まとまっていたと思う。想像していたより作品としての出来はよかったと感じた。もう上映が終わってしまうのが残念だ。次回作はあるのだろうか。


アリスⅡ⑦.jpg


 最後に普通顔のジョニー・デップをどうぞ。


アリスⅡ⑥.jpg

原題:ALICE THROUTH THE LOOKING GLASS 監督:ジェームズ・ボビン
出演:ジョニー・デップ、 ミア・ワシコウスカ、 アン・ハサウェイ、 
ヘレナ・ボナム・カーター、 サシャ・バロン・コーエン、 アラン・リックマン(声の出演)
2016年 アメリカ(ディズニー作品)

ジャングルブック [外国映画]

 子供のころ、確か麻疹(はしか)にかかって寝込んでいると、いつもかわいがってくれた叔父が少年少女版「ジャングルブック」をお見舞いに買ってきてくれました。読んでみたらすごく面白くて、何度も何度も読み返しました。それが映画になったので、見に行かないわけにはいきません。
 作品は主人公の少年モーグリ以外は、動物も風景も全てCGとのことで、その技術力の進歩に感心することしきりでした。


jya1.jpg


 モーグリは、生まれて間もなくジャングルに取り残されてしまう。黒ヒョウのバギーラから母オオカミのラクシャに託された彼は、愛情に包まれながら自然の厳しさと生き抜くための知恵と術を学んでいく。やがて少年となって動物たちと幸せな日々を過ごしていたモーグリ(ニール・セティ)は、人間に恨みを抱くトラのシア・カーンと出会う。シア・カーンから人間である自分の存在が、ジャングルやそこに住む動物たちの脅威になると言われ……。

jya4.jpg
 モーグリとバルー(くま) 


jya6.jpg
 狼の母親、ラクシャ


jya7.jpg
 モーグリをつけ狙うシア・カーン

 とにかくこれらの映像が、動物や風景の全てがCGだといわれても、まったくわからないほどよくできていた。その技術力の進歩にただ驚くばかりだった。


jya2.jpg


 それからこの映画の成功は、声優をスター俳優がつとめたことにあると思う。ビル・マーレイがバルー(モーグリを助ける巨大なクマ)、ベン・キングスレイがバギーラ(モーグリを守り助ける黒ひょう)、イドリス・エルバがシア・カーン(少年をつけ狙うトラ)、ルピタ・ニョゴンがラクシャ(狼の母)、スカーレット・ヨハンソンがうわばみ(年老いた大蛇)カー、ジャン・カルロ・エスボジートがアキーラ(狼の父)、クリストファー・ウォーケンがキングルーイ(巨大なオランウータン)で、それぞれのキャラクターが本当にハマっていた。


jya8.jpg


 幼少のころの本の物語の中で、私が痛烈に覚えているのは、うわばみカーだ。本で読んでもすごく怖い存在だった。映画では少し不思議で不気味なキャラクターとして描かれている。


jya3.jpg
  モーグリとうわばみカー

 少年と動物たちの友情、冒険物語は大人が観ても心躍るものだと思った。夏休みも終わりなので、映画館も少し静かになります。大人がゆっくり鑑賞する時です。いい映画を観ましょう!

原題:THE JUNGLE BOOK 監督:ジョン・ファブロー  出演:ニール・セティ(モーグリ)、声の出演:ビル・マーレイ、 ベン・キングスレイ、 イドリス・エルバ、 ルピタ・ニョゴン、 
スカーレット・ヨハンソン、 ジャン・カルロ・エスボジート、 クリストファー・ウォーケン
2016年 アメリカ