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ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ [外国映画]

 コリン・ファースとジュード・ロウの顔合わせなら、絶対見なくちゃと思って観に行きました。二人は対照的な性格の天才を演じて、とても観ごたえがあり、感動しました。


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 1920年代のニューヨーク。アーネスト・ヘミングウェイ(ドミニク・ウェスト)の「老人と海」やスコット・F・フィッツジェラルド(ガイ・ピアース)の「グレート・ギャツビー」などの名作を手がけた編集者マックス・パーキンズ(コリン・ファース)の元に、無名の作家トマス・ウルフ(ジュード・ロウ)の原稿が持ち込まれる。
 編集者という仕事は大変だ。私もプロの作家の先生にエッセイの生原稿をみせてもらったことがあるが、この映画であったように、原稿は線を引いて文章が消され、そこに編集者の人が別の文を加えていた。それが容赦なく、といった感じだったのでびっくりしたことがある。この映画の編集者パーキンズはトマス・ウルフの原稿をほぼ半分になるまでに削るのだった。


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 ジュウド・ロウ&ニコール・キッドマン

 パーキンズはトマス・ウルフの才能にほれ込み、彼が感情のままにペンを走らせ、際限なく文章を生み出すのを精神的に支える。ウルフは天才だが、性格はまるで子供のようにわがままで傷つきやすい青年だったからだ。


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 ウルフの処女作「天使よ故郷を見よ」が、パーキンズの導きでベストセラーに輝くと、二人は更なる大作に取りかかる。ウルフは昼夜を問わず執筆に没頭し、パーキンズは妻ルイーズ(ローラ・リニー)や家庭を犠牲にし、ウルフの愛人アリーン(ニコール・キッドマン)は二人の関係に嫉妬する。


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 ニコール・キッドマンは好きな女優さんの一人。美しくて、子どものようなウルフを金銭面でも際限なく援助し、ウルフのわがままもがまんする愛人アリーンを好演している。ウルフによって翻弄されるが、彼を突き放すことができないのだった。


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 やがて第二作が完成すると、ウルフは「この本をパーキンズに捧げる」と献辞を付け足し、ヨーロッパへ旅立ってしまう。というのも「ウルフはパーキンズなしでは書けない」という世間の風評に傷ついて、一人でも書けると証明したかったからだ。

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 ガイ・ピアース演じるフィッツジェラルド

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 ドミニク・ウェスト演じるヘミングウェイ 

 しかしウルフはヘミングウェイやフィッツジェラルドなどを訪ね歩くが、だれもパーキンズの悪口をいわなかった。この二人に扮したドミニク・ウェストとガイ・ピアースが、まさにこの作家たちが本当にこうだったに違いないと想像させるような、はまり役だった。(余談ですが、私はこの間バーでヘミングウェイの好きなお酒パパダイキリを飲んだのですが、甘くなくとてもおいしいカクテルでした。)

 ウルフはますます孤独に追い詰められ、ようやく自分にとってはパーキンズこそが最大の理解者であり、彼なしでは本は出版できないのだと悟る。そしてパーキンズに友情を込めて、もう一度会いたいと手紙をかくのだが……。


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 コリン・ファースの演じる編集者パーキンズは仕事の鬼であるが、家庭ではよき父でありよき夫だった。対するジュウド・ロウのトマス・ウルフは天才でわがままで子供だが、とても魅力的な男だった。この二人の正反対の性格の男性像を二人の俳優が、余すところなく演じているのが面白くて、とても興味深い映画だったと思う。ちなみに、私がどちらが好きかと言われれば、ジュウド・ロウのトマス・ウルフかもしれない。やはりこういう破滅型の男性に魅かれるところがある。原作も面白そうなので読んでみたいものだ。

原題:GENIUS 監督:マイケル・グランデージ 出演:コリン・ファース、 ジュウド・ロウ、
ニコール・キッドマン、 ローラ・リニー、 ガイ・ピアース、 ドミニク・ウェスト、etc.
2015年 イギリス


文庫 名編集者パーキンズ 上 (草思社文庫)

文庫 名編集者パーキンズ 上 (草思社文庫)

  • 作者: A.スコット バーグ
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2015/06/02
  • メディア: 文庫



文庫 名編集者パーキンズ 下 (草思社文庫)

文庫 名編集者パーキンズ 下 (草思社文庫)

  • 作者: A.スコット バーグ
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2015/06/02
  • メディア: 文庫



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ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring YEARS [外国映画]

 イギリス・リヴァプールのキャバーン・クラブで活動を始めたザ・ビートルズは、1961年から62年にかけてイギリスの音楽シーンに華々しく登場し、1963年の終わりにはヨーロッパ・ツアーを始める。そして1964年2月9日、アメリカの人気テレビ番組『エド・サリヴァン・ショー』への出演をきっかけに全世界的に人気を爆発させた。同年6月から初のワールド・ツアーをスタートさせると、以後2年間は過酷なスケジュールをこなし続け、ツアー活動を停止した1966年8月の時点でバンドは世界15カ国90都市166回のコンサートを行っていた。こうしたツアーに助長されて、ビートルマニア”と呼ばれる社会現象が誕生した。それは世界で初めて、文化のグローバル化が始まるきっかけとなった。


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 とにかく懐かしかった。でもこんなにすごいバンドだったとは、当時は知らなかったのだ。リヴァプールのキャバーン・クラブのシーンは本当に若い若い4人組だった。それからどんどんビッグになっていく様が当時のヒット曲とともに映像で流れる。


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 日本での武道館ライブでは、武道の殿堂でロックバンドのコンサートとは何事かという反対があったり、右翼の「ビートルズ来日排斥運動」などがあったため、彼らはホテルの部屋から出られなかったということもわかった。本当に大変だったんだなと思った。


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 ビートルズはどこへいっても、大群衆に囲まれて警備をする警官の数も半端じゃなかった。彼らが会場へ向かう車も遅々として進まないくらいだった。この4人組の知られざる姿を、彼らのライブ活動期に焦点を当て描き出している。


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 この中には、ポール、ジョン、リンゴ、ジョージの些細な会話やインタビューとともに、色々な著名人のインタビューが織り込んであり、それらは分析的で面白かった。日本人は浅井慎平さん(写真家)だった。

 彼らがツアーをしたのは、1963年から66年のわずか4年間だったとは信じられない。しかしその間世界中で、166回のライヴを行って、その他はスタジオに籠ってレコーディングの毎日。燃え尽きたのもわかる。

 最後にアメリカ「シェア・スタジアム」でのライヴ録画がそのまま流される。音楽史上初のマンモス球場でのライヴで、5万6千人以上の観客を動員した。若い女の子たちが失神して次々に警備員に運び出される様子も映し出されていた。

 最後の最後に、4人のインタビューの録音が流れる。彼らが本当に好きだったのは「音楽を創るという作業」だったのだそうだ。


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 私は初期のアルバムよりも後半の音楽のほうが好きだ。私の好きなアルバムは「サージェントペパーズロンリーハーツクラブバンド」1967年英国、「Abby Road」1969年英国、「Let It Be」1970年英国、「Hey Jude」1970年米国の4枚だ。

 ビートルズと同じ世代に生きた幸運をかみしめた一日だった。

原題:THE BEATLES: EIGHT DAYS A WEEK ‐ THE TOURING YEARS   
監督:ロン・ハワード
2016年 イギリス


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レッドタートル ある島の物語 [外国映画]

 これは何とも不思議な物語である。美しいアニメーションで、セリフがなく映像と音楽のみの作品だ。アニメーションの力というものを感じることができた。


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 嵐の中、荒れ狂う海に放り出された男が、九死に一生を得てある無人島に辿り着く。必死に島からの脱出を試みるものの、見えない力によって何度も島に引き戻されてしまう。絶望的な状況に置かれた男の前にある日、1人の女が現れる……。


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 最初の嵐の中の風景が音楽と映像(アニメーション)だけなのに、すごく迫力があって怖いくらいだった。それから男が島に流れ着いて、倒木でいかだを作って島から脱出しようと試みるのだが、それが海へいかだを出そうとすると、ほんの少し海面を進んだとたん、いかだはバラバラにこわれてしまう。それが3度も繰り返され、男は気力を失くして自棄になる。


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 次の朝目覚めると、大きな赤いウミガメが海から海岸へ上がってくる。自棄になっている男はウミガメを棒切れでたたき、挙句の果てにはウミガメをひっくり返して置き去りにしてしまうのだった。

 けれども時間が経って、男がウミガメの様子を見に戻ってくると、ウミガメは死んでしまっているのか、力なくだらんとしている。そこで男は海水を汲んできてカメにかけてやるが、生き返らない。

 それからまた時間が経過したときに男が見に行くと、不思議なことにカメの胸の甲羅が割れて、若い女性がその中にいるのだった。


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 そこから二人の生活が始まる。海で貝を取って食べたり、陸地の池で水浴びをしたり……。それからまた時間が経って次の場面は幼い子供連れの二人だった。親子3人の楽しそうな日常生活の場面が描かれる。そして子供が若者に成長したある日、大きな出来事が起こる。

 それは海からの大津波で、陸地の木々はなぎ倒され、逃げ惑う家族3人がどうなるのかと……。この場面も迫力満点で怖かった。アニメーションでこんな迫力のある映像が創れることに感動した。


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 助かった3人は元の穏やかな生活を取り戻すが、成長した息子はほかの地に思いをはせ、3匹のウミガメと一緒に旅立っていく。


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 最後は、年老いて白髪と白髭を蓄えた男が、女と眠っているときに天国へ旅立ってしまう。そして女は……。

 とてもファンタスティックな物語なのだが、違和感なくその世界に浸ることができた。これはアニメーションが魅力的で優れた美術絵画のような画面だったからだろう。例えは、木の葉がざわざわと揺れる細かい描写があるのだが、この1分にも満たない場面にどのくらいの人間の労力が注ぎ込まれたのかと考えると、気が遠くなりそうだ。作品完成に8年の年月を要したのもうなずける。
 セリフがないので余計なことを考える必要がなく、映画の世界に浸りこんでいた。そしてそのストーリーは、男女の純粋な愛情と家族の物語。その清浄さが心を打つすばらしい物語だった。ぜひご覧ください。

原題:LA TORTUE ROUGE (THE RED TURTLE) 監督:マイケル・ドゥドク・ドゥ・ヴイット
プロデューサー:鈴木敏夫 アーティスティックプロデューサー:高畑勲
2016年 日本/フランス/ベルギー
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ハドソン川の奇跡 [外国映画]

 7年前ハドソン川に不時着した航空機のことは、やはり覚えていますね。あれがどんな事故だったかは忘れていたんですが、映画を観てこんなにすごいことだったのかと、改めてこの出来事がまさに「奇跡」だったんだと思いました。


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 2009年1月15日、極寒のニューヨーク。160万人が暮らすマンハッタン上空850メートルで突如、航空機事故が発生。全エンジンが完全停止し、制御不能となった旅客機が高速で墜落を始める。サレンバーガー機長(トム・ハンクス)の必至の操縦により、70トンの機体は目の前を流れるハドソン川に着水。“乗員乗客155名全員無事”という奇跡の生還を果たした。着水後も、浸水する機内から乗客の避難を指揮した機長は、国民的英雄として称賛を浴びる。だが、その裏側では、彼の判断を巡って、国家運輸安全委員会の厳しい追及が行われていた……。


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 副機長役のアーロン・エッカートとトム・ハンクス

 一つ間違えば、大惨事になっていた事故。しかも人為的な事故ではなく、鳥の群れが飛んでいる飛行機のエンジンにはいりこみ、両エンジンとも停止という非常事態。それを管制塔の指示通りではなく、自分の経験から近くの別の飛行場に着陸することは不可能と判断し、ハドソン川に不時着したサリー・サレンバーガー機長(トム・ハンクス)の勇気はすごいと思った。


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 この機長を演じたトム・ハンクスはとても魅力的だった。今年1月にスピルバーグ監督の映画「ブリッジ・オブ・スパイ」をみたときも、トム・ハンクスは年を経るごとに良くなっていくなぁと思っていたのだが、今回の機長役は本当にすばらしかった。やはりクリント・イーストウッドの描き方が上手かったのだろう。臨場感あふれる現場の様子が観客によく伝わってきたと思う。やはりこの映画とこの事故の主役は、映画の原題にもあるように「SULLY」ことサリー・サレンバーガー機長なのだ。


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 エンドロールで本物のニュース映像に登場する機長と奥さん、そして乗客たちのインタビューがでてくるが、こういう九死に一生を得る事故を経験した人たちの心の絆というものは、非常に強いものなのだと実感した。つくづく奇跡が起こってよかったと思わずにいられなかった。

 クリント・イーストウッド作品はとても上手いのだが、題材はかなり怖いものがほとんどだと思う。これからも命の続く限り、新作を撮り続けてほしいものだ。


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 やっぱりカッコいいですね、監督!

原題:SULLY 監督:クリント・イーストウッド 出演:トム・ハンクス
アーロン・エッカート、 ローラ・リニー、 アンナ・ガンetc.
2016年 アメリカ




 

 
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アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅 [外国映画]

 新作品は一段と創りこんだ感じになっていて、とても楽しかったです。ジョニデがメイクで素顔がほとんどわからないのが残念でしたけど。


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 アリス(ミア・ワシコウスカ)が不在の不思議の国で事件が発生。マッドハッター(ジョニー・デップ)の悲しい過去が、彼を窮地へ追いやる。過去に心を奪われ、帰らぬ家族を待ち続けるマッドハッターを救うため、アリスは時間の番人タイム(サシャ・バロン・コーエン)と戦い、過去へと旅立つが……。彼女を待ち受けるのは、秘められた真実とタイムとの戦い。果たして、運命に逆らって過去を変え、マッドハッターを救うことができるのか?さらには、チェシャ猫や赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)と白の女王(アン・ハサウェイ)たちの驚くべき幼年期の秘密も明らかに……。


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 今回はおなじみのキャラクターに加えて、タイム役のサシャ・バロン・コーエンが加わり面白くなっていた。新しい作品ではマッド・ハッター(ジョニー・デップ)の過去の悲しい出来事が明らかになったり、赤の女王と白の女王の過去の確執もわかる。そしてアリスは時間をさかのぼって、悲しい過去や確執を正そうと活躍するのだ。


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 主演のミア・ワシコウスカは結構素顔に近い感じで、他の特殊メイクしている登場人物とは違う感じがかえって目立っていた。衣装も中国か東南アジア風の刺繍を施した色鮮やかな衣装が素敵だった。ジョニー・デップはメイクしすぎて、誰だか分らなかったのが残念だった。赤の女王のヘレナ・ボナム・カーターもメイクがあまりにも凄すぎて、ちょっと引いてしまうくらい。でも赤の女王と白の女王の過去が振り返られて、二人がなぜ犬猿の仲になったのか、そして赤の女王はどうしてあんなに皆を憎むのかわかってくる。他のCGの登場人物たちも楽しかった。特にチェシャ猫はとてもかわいかった。


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 チェシャ猫


 結構盛りだくさんなストーリーだが、CGの映像美が凄かったし、筋書きも割合まとまっていたと思う。想像していたより作品としての出来はよかったと感じた。もう上映が終わってしまうのが残念だ。次回作はあるのだろうか。


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 最後に普通顔のジョニー・デップをどうぞ。


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原題:ALICE THROUTH THE LOOKING GLASS 監督:ジェームズ・ボビン
出演:ジョニー・デップ、 ミア・ワシコウスカ、 アン・ハサウェイ、 
ヘレナ・ボナム・カーター、 サシャ・バロン・コーエン、 アラン・リックマン(声の出演)
2016年 アメリカ(ディズニー作品)

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ジャングルブック [外国映画]

 子供のころ、確か麻疹(はしか)にかかって寝込んでいると、いつもかわいがってくれた叔父が少年少女版「ジャングルブック」をお見舞いに買ってきてくれました。読んでみたらすごく面白くて、何度も何度も読み返しました。それが映画になったので、見に行かないわけにはいきません。
 作品は主人公の少年モーグリ以外は、動物も風景も全てCGとのことで、その技術力の進歩に感心することしきりでした。


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 モーグリは、生まれて間もなくジャングルに取り残されてしまう。黒ヒョウのバギーラから母オオカミのラクシャに託された彼は、愛情に包まれながら自然の厳しさと生き抜くための知恵と術を学んでいく。やがて少年となって動物たちと幸せな日々を過ごしていたモーグリ(ニール・セティ)は、人間に恨みを抱くトラのシア・カーンと出会う。シア・カーンから人間である自分の存在が、ジャングルやそこに住む動物たちの脅威になると言われ……。

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 モーグリとバルー(くま) 


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 狼の母親、ラクシャ


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 モーグリをつけ狙うシア・カーン

 とにかくこれらの映像が、動物や風景の全てがCGだといわれても、まったくわからないほどよくできていた。その技術力の進歩にただ驚くばかりだった。


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 それからこの映画の成功は、声優をスター俳優がつとめたことにあると思う。ビル・マーレイがバルー(モーグリを助ける巨大なクマ)、ベン・キングスレイがバギーラ(モーグリを守り助ける黒ひょう)、イドリス・エルバがシア・カーン(少年をつけ狙うトラ)、ルピタ・ニョゴンがラクシャ(狼の母)、スカーレット・ヨハンソンがうわばみ(年老いた大蛇)カー、ジャン・カルロ・エスボジートがアキーラ(狼の父)、クリストファー・ウォーケンがキングルーイ(巨大なオランウータン)で、それぞれのキャラクターが本当にハマっていた。


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 幼少のころの本の物語の中で、私が痛烈に覚えているのは、うわばみカーだ。本で読んでもすごく怖い存在だった。映画では少し不思議で不気味なキャラクターとして描かれている。


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  モーグリとうわばみカー

 少年と動物たちの友情、冒険物語は大人が観ても心躍るものだと思った。夏休みも終わりなので、映画館も少し静かになります。大人がゆっくり鑑賞する時です。いい映画を観ましょう!

原題:THE JUNGLE BOOK 監督:ジョン・ファブロー  出演:ニール・セティ(モーグリ)、声の出演:ビル・マーレイ、 ベン・キングスレイ、 イドリス・エルバ、 ルピタ・ニョゴン、 
スカーレット・ヨハンソン、 ジャン・カルロ・エスボジート、 クリストファー・ウォーケン
2016年 アメリカ
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シング・ストリート 未来へのうた [外国映画]

 ジョン・カーニー監督が自身の少年時代の体験をベースに撮り上げた音楽青春映画。80年代のアイルランドを舞台に、14歳の少年が、女の子に恋をして彼女を振り向かせようとバンドを組み、音楽を通して仲間たちとの友情を深めていく。作品中、デュラン・デュラン、ホール&オーツ、a-ha、ザ・キュアーetc.など80年代のブリティッシュミュージックの名曲が聴けるのも楽しい。


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 1985年アイルランドの首都ダブリン。折しもの大不況により父親が失業し、14歳のコナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)は荒れた公立校に転校させられる。家では両親のけんかが絶えず、音楽オタクの兄ブレンダン(ジャック・レイナー)と一緒に、隣国ロンドンのMVをテレビで見ている時だけが幸せだった。ある日、街でラフィナ(ルーシー・ボイントン)を見かけたコナーはその大人びた美しさに一目で心を打ちぬかれ、「僕のバンドのPVに出ない?」と口走ってしまう。コナーは慌ててバンドを組み、無謀にもロンドンの音楽シーンを驚愕させるPVを製作すると決意する。


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 主役のフェルディア・ウォルシュ=ピーロは、オペラやアイルランドの民族音楽で活躍する家族のもとで育ち、ボーイ・ソプラノでオペラに出演したことがあるのだそうだ。演技はしろうとだが、ビジュアルがよく声もいいのでオーディションで監督に気に入られ、主役に抜擢された。すごくかわいい男の子だ。それが、学校の仲間を集めてバンドを組み普通の少年から段々とカッコいいボーカリストに成長していく姿が素敵だった。


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 フェルディア・ウォルシュ=ピーロ
 
 映画の中では80年代のファッションとカルチャーも完璧に再現。ロケは80年代から変わらない建物が数多く残っているダブリン市内や周辺で行われたそうだ。コナーが組んだバンドが演奏する音楽は
「Mary's Prayer」のゲイリー・クラークが作詞作曲した。ブリティッシュロックのセンスあふれるいい曲ばかりだ。そして歌詞は主人公コナーの身近なことを題材にしている。学校で起きたことや、彼女への切ない想いを歌ったバラードとか、最高に魅力的な曲が聴ける。


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 ルーシー・ボーイントン&フェルディア・ウォルシュ=ピーロ

 ストーリーもよくて、学校でのいじめや両親の不和もストーリーに陰影を与え、バンド結成に奔走する少年の姿が爽やかに描かれていた。これから何が起こるかわからない、しかし未来に向かっていくという若者たちの輝きが観ている人の心に、自身の青春を思い起こさせる。若い人はもちろん、80年代の音楽を愛する大人も十分に楽しめる作品だ。
 監督のジョン・カーニーは「Once ダブリンの街角で」という作品でアカデミー賞作曲賞を受賞している。彼の描き方は人間関係に一種の爽やかさを添付するものだ。観ていて気持ちがいい。


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 80年代のCoolな音楽を愛する人も、映画そのものを愛する人も満足度はきっと高くなるはずです。ぜひご覧ください。

原題:SING STREET  監督:ジョン・カーニー  出演:フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、
ルーシー・ボーイントン、 マリア・ドイル・ケネディ、 エイダン・ギレン
ジャック・レイナーetc.
2015年 アイルランド/イギリス/アメリカ
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ブルックリン [外国映画]

 なかなか面白い映画で、シアーシャ・ローナンが美しく成長していたのが印象的でした。女性の生き方として共感できるところがありました。


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 1950年代のアイルランド。小さな町に住むエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は、姉とは対照的に大人しく目立たない存在だった。しかし彼女の将来を案じた姉の勧めでエイリシュはニューヨークへ渡米することを決める。


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 だがそこは生まれ育った小さな町とはあまりに違う生活。ブルックリンの高級デパートでの仕事には慣れず、下宿先の同郷の女性たちは既に洗練されて会話もままならない。激しいホームシックに陥り、アイルランドから届く姉の手紙を読み返し涙に暮れるエイリシュの様子を見かねて、同郷の神父(ジム・ブロードベント)はブルックリン大学の会計士コースを受講するよう勧める。やがて学ぶ喜びを知り、少しずつ前向きになっていくエイリシュだった。


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 シアーシャ・ローナン&エモリー・コーエン

 そんな中、あるパーティーでイタリア系移民のトニー(エモリー・コーエン)と出会った彼女は、毎週大学に迎えに来る彼の誠実さに少しずつ心を開いていく。最新の水着に身を包み、コニーアイランドでトニーと過ごすエイリシュは、いまや洗練されたニューヨーカーになっていた。


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 ところがある日、故郷から突然の姉の死という悲報が届き、エイリシュはアイルランドへ帰郷する。そんな彼女を待ち受けていたのは、トニーとは正反対のジム(ドーナル・グリーソン)との再会、そしてニューヨークとは違うもう一つの人生であった……。


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 ドーナル・グリーソン&シアーシャ・ローナン

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 アイルランドの田舎育ちの女の子エイリシュが、ニューヨークで頑張って生活し恋人を見つけるが、姉の突然の死によってアイルランドへ呼び戻されることになる。しかし恋人のトニーは、エイリシュがアイルランドへ帰る前に、彼女をまだ未開発のニューヨークのロングアイランドに案内する。そこは一面の草原だったが、トニーはここは絶対に発展する土地だから、今のうちの買って家を建てて住もうとエイリシュに夢を語るのだ。そして彼女が祖国へ帰ってしまう前に結婚に漕ぎつける。
 それからアイリシュは帰国するのだが、そこには老いた母と旧友たちが待っていて彼女を暖かく迎えてくれる。そして親友が昔の友達ジムを連れてきて、海辺でのダブルデートとなる。ジムはトニーとは違って知的でブレザーが似合うイギリス人的なハンサムな青年で、アイリシュは心惹かれ、何度かデートを重ねる。そしてトニーからの手紙に見向きもせず、机の中にしまい込んでしまう。しかし同郷の青年は礼儀正しいだけで、手も握ってこないし、アイルランドの田舎町で一生終わるのかと思うとぞっとするなどと、愚痴っぽく語るだけだった。そしてひょんなことからアイリシュが実は結婚していることが人に知られ、彼女は目が覚めたかのように、アメリカへ帰国しようと思いなおす。母はそんな娘を止めようとはしなかった。

 トニーは字もまともに書けず弟に代筆させるくらい教養もないのだが、彼のアイリシュに対するまっすぐな情熱と、実現可能な将来の夢を語る姿はやはり女性の心をつかんで離さないだろう。恋愛には情熱と夢が必要というのが、本当のところである。
 アイリシュとトニーの未来は明るいものに違いないと想像でき、楽しい気分で作品を観終わったのだった。主役のシアーシャ・ローナンがどんな女優さんに成長していくのかがとても楽しみになった。そして相手役のエモリー・コーエンにも注目である。ちょっとジョニー・デップに似ているところがあると思った。

原題:BROOKLIN 監督:ジョン・クローリー 出演:シアーシャ・ローナン、
エモリー・コーエン、 ドーナル・グリーソン、 ジム・ブロードベントetc.
2015年 アイルランド/イギリス/カナダ

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レジェンド 狂気の美学 [外国映画]

 トム・ハーディの最新作を観てきました。トムが60年代ロンドンのダークサイドを駆け抜けた双子のギャングスター、クレイ兄弟を1人2役で演じます。実話に基づいた話だそうです。ストーリーはまさにギャングの世界そのもので、トム・ハーディのハードな演技にくぎ付けです。


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 この頃撮影技術が向上しているので、トムが二役で演じていても、画面上それほど違和感がなく二人の俳優が演じているかのようだった。それがすごいことだと思った。

 1960年代初頭のロンドン。双子のギャング、レジー・クレイとロニー・クレイ(トム・ハーディの二役)は手段を選ばない残虐な方法で街の権力を手中に収めつつあった。


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 一番左側がタロン・エガートン(「キングスマン」主役)です。どことなくディカプリオに似てると思うんですが……。


 勢力拡大のために二人はアメリカのマフィアと手を組み、有力者やセレブリティとも懇意の関係を築き上げていく。彼らの影響力はイギリス社会の上流階級にまで及び、その勢いはとどまるところを知らなかった。


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 そんな中、レジーは部下の妹フランシス(エミリー・ブラウニング)と恋に落ち結婚。悪事と手を切ると約束したレジーは、自らが所有する複数のナイトクラブの経営に力を注ぎ込むようになっていく。


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 しかし、組織内の不調和や警察の執拗な捜査、ロニーが仲間を見境なく殺すという行動によってクレイ兄弟の栄華は徐々に脅かされていくのだった。やがて二人の絆に綻びが生じ、レジーとフランシスの結婚生活も破綻へと向かい始める……。


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 このギャング映画の面々が、どこから探してきたのかというくらい本当にギャンク顔の俳優さんばっかりで、それがなんとなく笑えた。ストーリーはドンパチや殺しの場面が多く、男の世界そのものだった。けれども兄のレジーとフランシスの結婚の場面は美しく描かれ、ちょっと息抜きになっていたと思う。
 これでハピーエンドとはならないのが、ギャングの世界であって、最後は二人の間に悲劇が起こって別れることになり、しかもフランシスは亡くなってしまう。レジーはフランシスの亡骸に会いに行き、その指に大きなダイヤモンドの指輪をはめる。ここが、レジーのバカさ加減をはっきりと示したところだった。男の人は大きいダイヤモンドをあげれば女性は満足すると思っているんだろうか。そんなものじゃなくて、幸せで落ち着きのある生活こそ、女が求めていることなのに。男はやっぱりレジェンド(伝説)になりたいのだろうか。
  
 それにしても、トム・ハーディはすごくハードな役もできるし女性との恋愛場面も演じきれる。幅の広い演技のできる面白い役者だと改めて思いました。

原題:REGEND  監督:ブライアン・ヘルゲランド  出演:トム・ハーディ、
エミリー・ブラウニング、 タロン・エガートン、 デヴィッド・シューリスetc.
2015年 イギリス 
 
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さざなみ [外国映画]

 シャーロット・ランプリングは好きな女優さんの1人です。美人で、あの澄み切った美しい目が印象的です。彼女はイギリス人で、1973年度上映の「愛の嵐」という映画で一躍有名になりました。これは元ナチ親衛隊員とゲットーに収容された美少女の倒錯的な愛を描いた映画です。シャーロットは退廃的な魅力で注目されました。今作「さざなみ」は結婚して45年の夫婦に過去の事件が影を落とし、夫婦の仲を壊していきます。
 最初、出演者の名前がクレジットされるとき、カシャッ、カシャッという音がしてこれは一体何の音かしらと思いました。それが映画の後半になってわかる仕組みになっています。


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 イギリスの小さな地方都市に暮らす、ごく普通の夫婦ジェフ(トム・コートネイ)とケイト(シャーロット・ランプリング)は、結婚45年になる。子供はいないが大きな犬を飼っており、ジェフは仕事を引退し二人は平凡だけれど穏やかに日々を送っていた。


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 結婚45周年祝賀パーティを友人たちが祝ってくれるのだが、それが大きなイベントと言えた。けれども事件はパーティの5日前にジェフに届いた一通の手紙によって、二人の間にじわじわと忍び寄ってくる。
 それはジェフのほうの出来事で、50年以上前スイスの雪山でその当時の彼の恋人カチャがクレパスに落ち、行方不明となったことだ。しかし温暖化により雪が溶け、当時の姿のまま発見されたので遺体確認に来てほしいというスイスの警察からの手紙だった。

 ジェフはこの事件のことを全くケイトに言わずに45年もの歳月を過ごした。しかし警察からの手紙で、忘れ去ろうとしていた過去がジェフの中によみがえり、ケイトに事情を説明するとき、ジェフは目の前の妻の存在を忘れ、上の空となってしまった。

 ケイトは心の中に納得できないものを感じる。祝賀会の下打ち合わせに町へ出掛けたケイトは、結婚45周年の記念にふさわしいと思えるプレゼントを見つけ、家に電話してジェフの好みを聞こうとするが、夫は電話に出ない。何かに気を取られて電話に出られないのだと察し、ケイトは落ち着かなくなる。


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 ケイトが家に戻ると、ジェフはいつもの夫に戻っていた。しかし夕食の席で、ジェフはケイトにカチャとの出来事を語り出し、警察にはカチャと夫婦と言ってあったという。ケイトが屋根裏部屋に行ってみると、そこには映写機があり、カチャの写真が映し出されていた。

 普通の夫婦がある秘密が暴露されたのをきっかけにどんどん関係が変わっていくのが、シャーロット・ランプリングの刻々と変わる表情によってみごとに表現されていた。クライマックスは結婚45周年記念のパーティーの最中で、ジェフはスピーチでケイトと結婚できてよかったと感涙と共に述べるのだが、さてパーティーがたけなわとなったとき、ケイトの表情が人知れず変わっていくラストがとても怖い感じがした。
 シャーロット・ランプリングは人間の心の奥にある闇を表現するのが非常にうまい女優だと思う。この作品でS・ランプリングとT・コートネイは、ベルリン映画祭で主演女優賞と男優賞をダブル受賞した。シャーロットはアカデミー賞主演女優賞にもノミネートされたが、受賞は果たせなかった。とても残念だ。


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 こういう作品はやはりヨーロッパ映画ならではのものかもしれない。心の闇の怖さ、そして夫婦というのは秘密を持ってはいけないものなのだと強く思ったのだった。

原題:45YEARS 監督:アンドリュー・ヘイ 出演:シャーロット・ランプリング、
トム・コートネイ、 ジェラルディン・ジェームス、 ドリー・ウェルズ、 デヴィット・シブリー
2015年 イギリス

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